第3章 現金預金(2026年8月10日 更新)

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何を学ぶ?① 金庫の中の紙切れが、なぜ「現金」になる?教科書 第1節・p52〜54
簿記でいう「現金」は、財布の中のお金だけではありません。銀行に持っていけばその場ですぐ換金できる証券(通貨代用証券)も現金として扱います。
3級では他人振出小切手・送金小切手・郵便為替証書の3つを習いました。2級ではここに配当金領収証利払日の到来した公社債の利札が加わります。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p52
Q. 簿記で「現金」として扱うのは?
通貨代用証券も含む。金融機関に持っていけばその場ですぐ換金してもらえる証券だからです。
このタブの内容現金はどこに載る?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(現金流動負債 固定資産固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 雑損雑益

帳簿の現金と、実際に金庫にあった金額(実査額)がズレたときの差額が、P/Lの雑損または雑益になります。

よくある誤解

金庫に入っていたものは、
全部「現金」。

紙幣硬貨 85,000
送金小切手 20,000
配当金領収証 30,000
郵便切手 5,000
合計 140,000 が現金?

郵便切手まで現金にしてしまう

正しい理解

すぐ換金できる証券だけが現金。
郵便切手は換金できない。

紙幣硬貨 85,000
送金小切手 20,000
配当金領収証 30,000
現金実査額 135,000
郵便切手 → 貯蔵品(資産)

郵便切手は使う権利であって、お金に換えられない

基礎チェック ─ 誤解の正体教科書 p54
Q. 金庫に紙幣硬貨85,000円・送金小切手20,000円・配当金領収証30,000円・郵便切手5,000円があった。現金の実査額は?
135,000円。郵便切手は通貨代用証券ではないので現金実査額に含めません(決算では貯蔵品に振り替えます)。
配当金領収証:通貨代用証券の1つで、受け取った配当金を換金できる証券。
利払日の到来した公社債の利札:通貨代用証券の1つで、クーポン利息を換金できる証券。
3級で学んだ通貨代用証券:他人振出の小切手・送金小切手・郵便為替証書。2級ではこの2つが加わる。
ひと言アドバイス通貨代用証券は、金融機関に持っていくとその場ですぐ換金してもらえる証券のことだったね。
基礎チェック ─ 用語の識別教科書 p52
Q. 3級の3つ(他人振出小切手・送金小切手・郵便為替証書)に、2級で加わる通貨代用証券は?
配当金領収証と利払日の到来した公社債の利札。郵便切手・収入印紙は換金できないので現金ではありません。
Q. 公社債の利札が現金になるのは、どんな状態のとき?
利払日が到来しているとき。利払日が来て初めて換金できます。まだ来ていない利札は換金できません。
② 図解 ─ 受け取ったら、まず借方は現金
教科書 p52 の図 ─ 通貨でも通貨代用証券でも、借方は「現金」
① 通貨を受け取った場合
紙幣や硬貨をそのまま受け取った。
¥ ××
② 通貨代用証券を受け取った場合
配当金領収証・他人振出小切手など。すぐ換金できるので現金と同じ扱い。
紙だけど、お金と同じ
●●●●
(借)現 金×× (貸)○○○××

受け取ったものが通貨でも通貨代用証券でも、借方は「現金」です。

どちらも仕訳は(借)現金 ×× /(貸)○○○ ××換金できるかどうかが分かれ目です。

基礎チェック ─ 図の読み教科書 p52
Q. 配当金領収証30,000円を受け取ったときの借方の勘定科目は?
現金。通貨代用証券は受け取った時点で現金の増加として処理します。
③ 仕訳
例題3-1(教科書 p53〜54)

決算日(X2年3月31日)となったため、決算整理手続きを行う。次の資料に基づいて、現金に関する決算整理仕訳を示し、当期の財務諸表を作成しなさい。

1. 決算整理前残高試算表
借方残高勘定科目貸方残高
150,000現  金
2. 決算日に金庫の中を実査したところ、以下のものが保管されていた。現金の帳簿残高との差異の原因は不明である。
  • 紙幣硬貨:85,000円
  • 送金小切手:20,000円
  • 配当金領収証:30,000円
  • 郵便切手:5,000円
補足(教科書 p54 の解説) 郵便切手は通貨代用証券ではありません。そのため現金実査額には含めず、購入時は「通信費」、 決算時に未使用分を「貯蔵品」(資産)に振り替えます。
現金に関する決算整理仕訳
雑 損〔費用+〕15,000 現 金〔資産−〕15,000

⑴ 現金実査額=85,000+20,000+30,000=135,000(郵便切手は含めない)
⑵ 雑損=実査額135,000 − 前T/B現金150,000 = △15,000(帳簿のほうが多い=足りない=雑損
⑶ B/Sの現金=150,000 − 15,000 = 135,000(=現金実査額)

郵便切手について決算整理も行う場合は「(借)貯蔵品5,000/(貸)通信費5,000」。購入時に通信費で処理しているためです。

基礎チェック ─ 仕訳の読み教科書 p54
Q. 帳簿の現金150,000円に対し、実査額は135,000円だった。差額15,000円は?
雑損。実際が帳簿より少ないので、資産を減らして費用にします。多いときは雑益(収益)です。
Q. 帳簿150,000円、実査額135,000円のとき、B/Sに載る現金は?
135,000円。実際にあるものがB/Sの金額です。差額を雑損にして帳簿を実際に合わせます。
教科書 p54 の POINT

1.現金=通貨+通貨代用証券
2.下記のものが通貨代用証券に該当する。
 他人振出の小切手、送金小切手、郵便為替証書、配当金領収証、利払日の到来した公社債の利札

実践チェック
実践チェック ─ 現金の範囲教科書 p52〜54
Q1. 金庫に収入印紙3,000円分があった。現金実査額に含める?
含めない。郵便切手と同じく、決算では貯蔵品(資産)に振り替えます(購入時は租税公課)。
Q2. 帳簿の現金が100,000円、実査額が103,000円だった。差額3,000円の勘定科目は?
雑益。実際が帳簿より多いので、現金を増やして収益を計上します。
Q3. 手もとに、利払日がまだ来ていない公社債の利札がある。現金として扱う?
扱わない。現金になるのは利払日の到来した利札だけです。
穴埋め

現金(現金の範囲)

何を学ぶ?① 当社の帳簿と銀行の残高は、なぜ合わない?教科書 第2節1・p55〜57
当社の当座預金勘定の残高と、銀行の当座預金口座の残高は、本来は一致しているはずです。 ところが決算日などの一時点では、一致していないことがあります。
そこでズレの原因を調べ、必要な調整を行うために作る表が「銀行勘定調整表」です。おさえるべきところが多く大変ですが、試験では頻出です。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p55
Q. 銀行勘定調整表は、何のために作る表?
ズレの原因を調査するため。原因を調整して、両側の修正後残高を一致させるのがゴールです。
このタブの内容当座預金はどこに載る?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(当座預金流動負債(買掛金・未払金 固定資産固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 水道光熱費など売上

B/Sに載るのは当社側を修正したあとの当座預金。未渡小切手の相手勘定(買掛金・未払金)も負債として載ります。

教科書 p55 の図 ─ 一致しているはずなのに、不一致
<企業側(当社側)>
当座預金
××××××
残高 1,000
<銀行側>
当座預金の残高証明書
+ ×××△ ×××
残高 890

一致しているはずなのに
不一致となっている

銀行勘定調整表
当社残高1,000銀行残高890
加算+500加算+1,000
減算△110減算△500
修正後残高1,390修正後残高1,390

銀行勘定調整表を作って → ②不一致の原因を調整し → ③修正後残高を一致させる。この3段が図の骨組みです。

ひと言アドバイス銀行側の残高は、銀行に「残高証明書」を発行してもらって確認するんだ。でも、勉強するうえでは銀行通帳をイメージすれば大丈夫だよ。
基礎チェック ─ 図の読み教科書 p55
Q. 当社残高1,000、銀行残高890。調整のあと、2つの修正後残高はどうなる?
同じ金額になる。両側をそれぞれ調整して一致させるのが調整表のゴールです。合わなければどこかが間違っています。
② 図解 ─ 仕訳をするのは「当社側」だけ
教科書 p56 の図 ─ ① 不一致の原因が当社にある場合
前提
銀行勘定調整表
当社残高 1,000
+500
△110
1,390

まず調整表で、当社側に +500△110 の原因があると分かった。

▼ この+500・△110を、実際に帳簿へ反映する ▼
当社側の修正(①と②をセットで行う)
① 仕訳をして
当座預金 500 / ●●● 500← 加算+500
●●● 110 / 当座預金 110← 減算△110
② 当座預金勘定の残高を修正する
当座預金
××××××
××××××
××××××
×××110
500残高 1,000 1,390

当社側の項目は、調整表に書くだけでなく仕訳もして、当座預金勘定の残高そのものを1,000から1,390に直します

教科書 p56 の図 ─ ② 不一致の原因が当社にない場合(時が経過するだけでズレが解消する場合)
銀行勘定調整表
銀行残高 890
+1,000
△500
1,390
仕訳なし
当社側の修正ではないので仕訳しない

ここが最大の分かれ目です。調整表には両側とも書きますが、仕訳をするのは当社側だけ。銀行側の項目で仕訳を書くと誤りです。

基礎チェック ─ 仕訳の要否教科書 p56
Q. 銀行側の修正項目(時間外預入など)について、当社は仕訳をする?
仕訳なし。当社の帳簿は正しいので直す必要がありません。時が経てば銀行側で解消します。
Q. 当座預金のB/S計上額になるのは?
修正後残高。当社側を修正した後の金額で、両側で一致した金額です。
教科書 p57・p65 の図 ─ 銀行勘定調整表(両者区分調整法)
当社の帳簿残高銀行の残高証明書残高
1,000890
(加算)(加算)
未渡小切手(仕入代金)200時間外預入400
未渡小切手(旅費交通費)300未取立小切手600
5001,000
(減算)(減算)
自動引落未通知100未取付小切手500
誤記入10
110500
修正後残高1,390修正後残高1,390
貸借対照表に計上される当座預金の金額

左が当社側(仕訳あり)、右が銀行側(仕訳なし)。銀行勘定調整表は内部的に作成するもので、財務諸表ではありません

実践チェック
実践チェック ─ 調整表の総論教科書 p55〜57
Q1. 銀行勘定調整表は、財務諸表として外部に公表する?
公表しない。ズレの原因を調べるために内部で作る表です。
Q2. 当社残高1,000、加算500、減算110。当社側の修正後残高は?
1,390。1,000+500−110。誤答は加算と減算を逆にした計算です。
穴埋め

銀行勘定調整表の総論

何を学ぶ?① 当社が直すのは、どの3つ?教科書 第2節2⑴・p58〜61
当社側の修正項目は3つだけです。①連絡の未通知 ②誤記入 ③未渡小切手
いずれも当社の帳簿が間違っている(または処理が漏れている)ことが原因なので、仕訳をして当座預金勘定の残高を直します。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p58〜61
Q. 当社側の修正項目は、次のうちどれ?
連絡の未通知・誤記入・未渡小切手。誤答の3つはすべて銀行側の修正項目(仕訳なし)です。
このタブの内容当社側の修正で動く勘定
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(当座預金・売掛金)流動負債(買掛金・未払金 固定資産固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 水道光熱費・支払利息など売上

当社側の修正では、当座預金だけでなく相手勘定(負債や費用)も動きます。未渡小切手なら負債、自動引落なら費用です。

未渡小切手:小切手を振り出して相手に渡したつもりが渡せておらず、当社の手もとに残っていた小切手。
連絡の未通知=当座預金の入出金があったのに、銀行から当社へ連絡が来ていない状態。
誤記入=当社が誤った金額で当座預金の仕訳をしている状態。
② 図解 ─ 3つの原因を1つずつ
教科書 p58 の図 ─ ① 連絡の未通知
取引先支払 ¥100 未通知
A社当社
銀行
当座預金
(未処理)
◀ 不一致 ▶
当座預金
△100
当社が未処理であることが原因
当社の修正項目
仕訳例3-1 連絡の未通知(教科書 p58)

水道光熱費100円の自動振替が当社に未通知であった。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)(加算)
(減算)自動引落未通知 100(減算)
水道光熱費〔費用+〕100当座預金〔資産−〕100
基礎チェック ─ 連絡の未通知教科書 p58
Q. 水道光熱費100円が当座預金から自動引落されていたが、当社に連絡が来ておらず未処理だった。仕訳は?
仕訳をする。銀行はすでに引き落としており、当社だけが未処理。当社側で減算調整します。
仕訳例3-2 誤記入(教科書 p59)

売掛金100円が当座預金に振り込まれたが、誤って110円と記帳していた。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)(加算)
(減算)誤記入 10(減算)
① 誤った仕訳
(借)当座預金 110 (貸)売掛金 110
② 本来行うべきだった正しい仕訳
(借)当座預金 100 (貸)売掛金 100

差額を消すのが修正仕訳です → (借)売掛金 10 (貸)当座預金 10
※「当座預金」勘定を10増加させすぎているため、その分を減少させる。

借方貸方
売 掛 金〔資産+〕10 当座預金〔資産−〕10

多く記帳していた10円を取り消します。調整表では当社側の(減算)誤記入10

基礎チェック ─ 誤記入教科書 p59
Q. 当座預金への入金100円を、誤って110円と記帳していた。調整する金額は?
差額の10円。多く書きすぎた分だけを取り消します。当社側の減算です。
教科書 p60 の図 ─ ③ 未渡小切手
渡したつもりが未渡し(A社の手もとに残っていた) 小切手 ¥200 / 未渡小切手 ✕→ 取引先
A社当社
銀行
当座預金
△200
◀ 不一致 ▶
当座預金
当社の処理に原因あり
当社の修正項目
仕訳例3-3 未渡小切手①(教科書 p60)

商品の掛け代金200円を支払うために振り出した小切手が未渡しであった。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)未渡小切手 200(加算)
(減算)(減算)
当座預金〔資産+〕200買掛金〔負債+〕200
ひと言アドバイス「未渡小切手=支払ってないのに、支払った仕訳をしてしまった」ということだよ。
基礎チェック ─ 未渡小切手教科書 p60
Q. 「未渡小切手」とはどんな状態の小切手?
当社の手もとに残っている。誤答は未取付小切手(銀行側の修正項目)の説明です。
Q. 未渡小切手200円が見つかった。当社側で加算・減算のどちら?
加算。支払っていないのに減らしていたので、当座預金を増やして元に戻します
③ 仕訳 ─ 未渡小切手は相手勘定に注意
教科書 p60 の表 ─ 未渡小切手の相手勘定は、代金の内容で決まる
未渡小切手の内容当座預金の相手勘定
商品の仕入代金(買掛金)買掛金」勘定(負債)
商品の仕入代金以外(費用や固定資産など)未払金」勘定(負債)
仕訳例3-3 未渡小切手① 仕入代金200円(教科書 p60)

商品の掛け代金200円を支払うために振り出した小切手が未渡しであった。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)未渡小切手 200(加算)
(減算)(減算)
当座預金〔資産+〕200買掛金〔負債+〕200
仕訳例3-4 未渡小切手②(教科書 p61)

旅費交通費300円を支払うために振り出した小切手が未渡しであった。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)未渡小切手 300(加算)
(減算)(減算)
当座預金〔資産+〕300未払金〔負債+〕300

当座預金の減少を取り消すために増加とします。支払いが済んでいないので債務(負債)が生じます。 商品の仕入代金なら買掛金、商品の仕入代金以外(費用や固定資産など)なら未払金です。

基礎チェック ─ 相手勘定の使い分け教科書 p60〜61
Q. 仕入先への買掛金の支払いのために振り出した小切手が未渡しだった。貸方の勘定科目は?
買掛金。商品の仕入代金なので、もとの買掛金が復活する形です。
Q. 備品の購入代金の支払いのために振り出した小切手が未渡しだった。貸方の勘定科目は?
未払金。商品の仕入代金以外の債務なので未払金です。
実践チェック
実践チェック ─ 当社側の修正項目教科書 p58〜61
Q1. 「得意先から売掛金の入金があったが、当社に連絡がなく未処理だった」。どちらの修正項目?
当社側。入金の連絡未通知なので、当座預金を増やす仕訳をします(加算)。
Q2. 売掛金の入金23,000円を、32,000円と記帳していた。当社側の調整は?
9,000円の減算。32,000−23,000=9,000を多く増やしていたので、その分を減らします。
Q3. 買掛金支払いの未渡小切手20,000円と、備品代金の未渡小切手10,000円があった。当社側の加算額は?
30,000円。どちらも当座預金を戻します。違うのは相手勘定(買掛金か未払金か)だけです。
穴埋め

当社側の修正項目(仕訳あり)

何を学ぶ?① 何もしなくても直るのは、どの3つ?教科書 第2節2⑵・p62〜64
銀行側の修正項目も3つです。①時間外預入 ②未取付小切手 ③未取立小切手
どれも当社の処理は正しいので、当社は仕訳をしません。時が経てば銀行側で処理され、自然に解消します。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p62〜64
Q. 時間外預入・未取付小切手・未取立小切手について、当社の仕訳は?
3つとも仕訳なし。当社の帳簿は正しく、銀行側でまだ処理されていないだけだからです。
このタブの内容銀行側の修正では何も動かない
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(当座預金は動かない流動負債 固定資産固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 費用収益

銀行側の修正項目は調整表に書くだけ。仕訳をしないので、B/SもP/Lも動きません。ここが当社側との決定的な違いです。

未取付小切手:小切手を振り出したが、相手方がまだ銀行に持ち込んでおらず、相手の手もとに残っている小切手。
未取立小切手:銀行に取立依頼をした場合において、銀行がまだ換金手続きを行っていない場合の小切手。
時間外預入:銀行の営業時間外に夜間金庫等に現金を預け入れること。
ひと言アドバイス未渡小切手との違いは、相手に小切手を渡したかどうかだよ。相手に渡してないなら支払未了だけど、相手に渡しているなら当社としては支払完了と考えるんだ。だから、未取付小切手では当社の処理を取り消さないんだよ。
基礎チェック ─ 未渡と未取付の違い教科書 p63
Q. 未渡小切手と未取付小切手の違いは?
渡したかどうか。渡していない(手もとにある)=未渡=当社側。渡した(相手が持っている)=未取付=銀行側です。
Q. 未取付小切手で、当社の処理を取り消さないのはなぜ?
支払完了だから。あとは相手が銀行に持ち込むのを待つだけ。当社の帳簿は正しいままです。
② 図解 ─ 3つの原因を1つずつ
仕訳例3-5 時間外預入(教科書 p62)

時間外預入が400円あった。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)(加算)時間外預入 400
(減算)(減算)
仕訳なし 当社側の修正項目ではないため
COLUMN 夜間金庫とは

夜間金庫とは、銀行の営業時間外に入金のみを受け付けるATMのようなものです。飲食店などが、閉店後にその日の売上金を預金したくても、夜は銀行が閉まっているため預金できません。その不便を解消するものが夜間金庫です。銀行は、建物側面に夜間金庫を設置し、夜間でも入金できるようにしているのです。

教科書 p62 の図 ─ ② 未取付小切手
振出取引先 小切手 ¥500 / 未取付小切手 ②銀行に持ち込んでない
A社当社
銀行
① 当座預金
△500
◀ 不一致 ▶
② 当座預金
時が経過すれば解決
銀行の修正項目
仕訳例3-6 未取付小切手(教科書 p63)

未取付小切手が500円あった。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)(加算)
(減算)(減算)未取付小切手 500
仕訳なし 当社側の修正項目ではないため
教科書 p63 の図 ─ 小切手を受け取ったあと、どうするか
<図Ⅰ:当社が換金する場合>
①小切手受取 取引先 銀行 A社 当社 小切手 ¥600 ②換金 ① 現金+600

「現金」勘定(資産)の増加

<図Ⅱ:銀行に取立依頼をする場合>
①小切手受取 取引先 銀行 小切手 ¥600 ③換金 A社 当社 銀行 ②取立依頼 ② 当座預金+600 ③ 当座預金+600

銀行が小切手を換金し、そのまま当座預金口座に入金される

他人振出の小切手は、自分で換金すれば「現金」銀行に取立依頼をすれば「当座預金」の増加になります。 未取立小切手は、この図Ⅱの③がまだ済んでいない状態です。

教科書 p64 の図 ─ ③ 未取立小切手
取引先 から小切手受取 ②当社が取立依頼 ③小切手 ¥600 / 未取立小切手 ✕ まだ持ち込んでない
A社当社
銀行
② 当座預金
+600
◀ 不一致 ▶
③ 当座預金
時が経過すれば解決
銀行の修正項目
仕訳例3-7 未取立小切手(教科書 p64)

未取立小切手が600円あった。

当社の帳簿残高 ××銀行の残高証明書残高 ××
(加算)(加算)未取立小切手 600
(減算)(減算)
仕訳なし 当社側の修正項目ではないため
基礎チェック ─ 未取立小切手教科書 p64
Q. 銀行に取立依頼した小切手600円が、まだ取り立てられていない。調整は?
銀行側の加算。銀行が取り立てれば銀行残高が増えて一致します。当社は何もしません。
仕訳例3-5〜3-7 銀行側の3項目(教科書 p62〜64)
項目どんな状態か調整仕訳
時間外預入営業時間外に夜間金庫へ預け入れた銀行側 加算 400仕訳なし
未取付小切手相手に渡したが、まだ銀行に持ち込まれていない銀行側 減算 500仕訳なし
未取立小切手取立依頼したが、銀行がまだ換金していない銀行側 加算 600仕訳なし

加算2つ・減算1つ。未取付だけが減算です(銀行はまだ払い出していないので、銀行残高のほうが多い)。

基礎チェック ─ 加算か減算か教科書 p62〜64
Q. 時間外預入400円は、銀行側の加算・減算どちら?
加算。当社は預け入れ済みとして記帳、銀行は翌日入金。銀行残高が少ないので加算します。
Q. 未取付小切手500円は、銀行側の加算・減算どちら?
減算。当社は支払済みとして減らしていますが、銀行はまだ引き落としていない=銀行残高が多いので減らします。
教科書 p68 の POINT ─ 銀行勘定調整表のまとめ

1.当座預金の貸借対照表計上額 = 銀行勘定調整表の修正後残高

不一致内容修正を行う側調整方法
連絡の未通知当社仕訳する+も−もありえる
誤記入+も−もありえる
未渡小切手
時間外預入銀行仕訳しない
未取付小切手
未取立小切手

※ 未通知・誤記入は、その内容により+も−もありえる。

実践チェック
実践チェック ─ 例題3-2(教科書 p66)教科書 p62〜66
Q1. 「当社は銀行に50,000円を預け入れたが、銀行側では翌日入金となっていた」。どちらの修正項目?
銀行側の加算。当社の記帳は正しく、銀行の処理が翌日になっているだけです。
Q2. 「買掛金40,000円の支払いのために小切手を振り出したが、相手がいまだに現金化していない」。どちらの修正項目?
銀行側の減算。相手に渡してあるので未渡ではありません。「現金化していない=銀行に持ち込んでいない」=未取付です。
Q3. 当社残高195,000円。未渡小切手20,000と10,000を加算、自動引落23,000と誤記入9,000を減算した。当座預金のB/S計上額は?
193,000円。195,000+30,000−32,000=193,000。銀行側も168,000+50,000+15,000−40,000=193,000で一致します。
Q4. 当座預金のB/S計上額として答えるのは?
修正後残高。銀行残高そのものではありません。当社側の修正を反映した金額がB/Sに載ります。
穴埋め

銀行側の修正項目(仕訳なし)

仕上げ 問題 ─ 1問1観点で答える

2択ではありません。頭の中で答えを出してから「解説」を押してください。合っていれば「OK」、まだあやふやなら「とじる」を押してください。「とじる」を押した問題は畳まれず残ります。

① 現金の範囲

教科書 第1節(p52〜54)
Q1通貨代用証券
簿記で現金として扱う通貨代用証券を5つ言える?
他人振出の小切手・送金小切手・郵便為替証書(3級)+配当金領収証利払日の到来した公社債の利札(2級)。共通点はその場ですぐ換金できること。
Q2現金にならないもの
金庫にあっても現金にしないものと、その決算処理は?
郵便切手・収入印紙。換金できないので現金実査額に含めない。決算では「(借)貯蔵品/(貸)通信費(切手)・租税公課(印紙)」。
Q3現金の決算整理
帳簿150,000円、実査額135,000円のときの仕訳とB/S計上額は?
「(借)雑損15,000/(貸)現金15,000」。B/Sの現金は135,000=実査額。実査額のほうが多ければ雑益(収益)。

② 銀行勘定調整表の総論

教科書 第2節1(p55〜57)
Q4調整表の目的と性格
銀行勘定調整表は何のために作り、財務諸表かどうか?
企業と銀行の当座預金残高のズレの原因を調査するため財務諸表ではなく、内部的に作成する表。調整後は両側の修正後残高が一致する。
当社残高1,000銀行残高890
加算 / 減算+500 / △110加算 / 減算+1,000 / △500
修正後残高1,390修正後残高1,390
Q5仕訳をするのはどちら
当社側・銀行側のうち、仕訳をするのはどちら?なぜ?
当社側だけ。原因が当社にある=帳簿が間違っているので直す。銀行側は当社の処理が正しく、時が経てば解消するので仕訳なし。

③ 当社側の修正項目

教科書 第2節2⑴(p58〜61)
Q6当社側の3項目
当社側の修正項目3つと、それぞれの向きは?
①連絡の未通知(入金なら加算、出金なら減算)②誤記入(差額を加算または減算)③未渡小切手加算)。
Q7未渡小切手の相手勘定
未渡小切手の仕訳と、相手勘定の使い分けは?
「(借)当座預金/(貸)買掛金 または 未払金」。商品の仕入代金なら買掛金、それ以外(旅費交通費・備品代金など)は未払金
内容相手勘定
商品の仕入代金買掛金(負債)
それ以外未払金(負債)

④ 銀行側の修正項目

教科書 第2節2⑵(p62〜64)
Q8銀行側の3項目
銀行側の修正項目3つと向き、仕訳の要否は?
①時間外預入(加算)②未取立小切手(加算)③未取付小切手(減算)3つとも仕訳なし。減算は未取付だけ。
項目調整仕訳
時間外預入加算なし
未取立小切手加算なし
未取付小切手減算なし
Q9未渡と未取付の見分け
未渡小切手・未取付小切手・未取立小切手を状態で見分けられる
未渡=当社の手もとにある(渡していない)→当社側・加算・仕訳あり。未取付=相手の手もとにある(渡した)→銀行側・減算。未取立=銀行に預けたがまだ換金されていない→銀行側・加算。
分かれ目は「相手に渡したかどうか」
Q10例題3-2の解き方
7つの原因が並んだとき、どういう順で解く
①各原因を当社側か銀行側かに振り分ける →②当社側は加算・減算を決めて仕訳 →③両側の修正後残高を計算 →④一致するか検算
例題3-2:当社195,000+30,000−32,000=193,000、銀行168,000+65,000−40,000=193,000