引き渡した瞬間に、B/Sの資産(売掛金)とP/Lの収益(売上)が同時に増えます。
契約したら売上。
お金をもらったら売上。
売上の日が、そのつどブレる
基準はひとつだけ。
約束を果たした(引き渡した)時点。
お金の動きとは無関係に決まる
| 費用 | 収益 |
| 資産 | 負債 |
| 純資産 |
教科書の各ページ下部にある図です。資産・費用は左、負債・純資産・収益は右。この章に出てくる勘定は、必ずこの5つのどれかに入ります。
売上=収益(右)/返金負債・契約負債=負債(右)/仕掛品=資産(左)/役務原価=費用(左)。
お金を受け取ったかどうかは関係ありません。約束を果たしたかどうかだけで決まります。
お金を受け取ったかどうかは関係ありません。約束を果たしたかどうかだけで決まります。
以前に商品Xを1,000円で販売する契約を締結。本日、顧客へ商品Xを引き渡した。代金は後日回収する。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金〔資産+〕 | 1,000 | 売 上〔収益+〕 | 1,000 |
履行義務は「商品Xを引き渡すこと」。だから引き渡した時点で売上を認識します。契約を結んだ日には仕訳をしません。
| 売掛金 | |
|---|---|
| 1,000 | |
| 売 上 | |
|---|---|
| 1,000 | |
1.売上は、履行義務を充足した時点で認識する。
検収基準で未検収分を取り消すと、売上と売掛金の両方が減ります。片方だけ直すのは誤りです。
商品を出したのだから、
当期の売上に決まっている。
採用基準を読んでいない
会社がどの基準を採用しているかで変わる。
資料に必ず書いてある。
まず「◯◯基準」の一文を探す
商品の動きはどの基準でもまったく同じ。会社が線をどこに引いているかだけが違います。この3点の間に決算日が来ると、当期か翌期かが分かれます。
期末をまたぐと差が出ます。出荷済み・未検収の商品は、出荷基準なら当期の売上、検収基準なら当期の売上にしない。
同じ取引・同じ商品でも、採用している基準しだいで当期の売上が変わります。
⑴ B社から注文を受け、商品100円を出荷(代金は掛け)/⑵ 商品がB社に到着/⑶ B社から検収の報告。
| 採用する基準 | ⑴ 出荷 | ⑵ 着荷 | ⑶ 検収 |
|---|---|---|---|
| 出荷基準 | 売掛金100/売上100 | 仕訳なし | 仕訳なし |
| 着荷基準 | 仕訳なし | 売掛金100/売上100 | 仕訳なし |
| 検収基準 | 仕訳なし | 仕訳なし | 売掛金100/売上100 |
仕訳の中身は3つとも同じ。違うのはどの行に書くかだけです。
1.売上の認識基準として、「出荷基準」、「着荷基準」、「検収基準」がある。
受け取った1,000円は、
全部が売上。
50円返した瞬間に、売上が過大だったと判明する
返す見込みの50円は、
最初から売上にしない。
あとで返しても、売上は動かない
返金負債は B/S の負債。P/L の費用ではありません。減るのは費用ではなく売上のほう、という関係が図で確かめられます。
②で先に分けておくから、③で返しても売上が狂いません。これが売上割戻しの処理です。
代金は1,000円受け取っているので、資産は1,000円増える。増えた1,000円の内訳が、収益950と負債50に分かれる、という形です。
顧客Aに商品Yを1,000円で販売し、現金を受け取った。リベートとして、販売額のうち50円は返金すると見込んでいる。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現 金〔資産+〕 | 1,000 | 売 上〔収益+〕 | 950 |
| 返金負債〔負債+〕 | 50 | ||
売上=販売額1,000 −返金負債50 = 950
| 現 金 | |
|---|---|
| 1,000 | |
| 売 上 | |
|---|---|
| 950 | |
| 返金負債 | |
|---|---|
| 50 | |
左(借方)に1,000、右(貸方)に950+50。左右の合計が必ず一致します。
商品Rを540,000円で掛販売。変動対価を含む取引と判断し、うち19,000円は返金すると見積もった。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 540,000 | 売 上 | 521,000 |
| 返金負債 | 19,000 | ||
売上=540,000 − 19,000 = 521,000。掛けでも現金でも、借方が変わるだけで貸方の考え方は同じです。
| ⑵ 以前に購入した商品Sについて、本日リベート42,000円の通知を受け、同額の買掛金が減額されることとなった | |||
|---|---|---|---|
| 買 掛 金〔負債−〕 | 42,000 | 仕 入〔費用−〕 | 42,000 |
買う側(仕入割戻し)は返金負債を使わず、仕入を減額します。売る側と処理が違う点が問われます。
⑴ 商品Yを1,000円で購入し、現金を支払った。
⑵ 商品Yの購入額が一定額を超えたため、リベートとして現金50円を受け取った。
割戻しを受ける側は、特別な会計処理を行いません。すなわち、仕入時は対価の全額を「仕入」勘定(費用)に計上し、その後、割戻しを受けた場合は、「仕入」勘定を減額します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| ⑴ 仕 入 | 1,000 | 現 金 | 1,000 |
| ⑵ 現 金 | 50 | 仕 入 | 50 |
⑵は例題2-1では「買掛金42,000/仕入42,000」の形でも出ます。返金負債は出てきません。仕訳の形は返品(仕入戻し)と同じです。
1.将来、売上割戻しが見込まれる場合、売上の金額は当該金額を控除して算定する。
2.売上割戻しの見積額は、「返金負債」勘定(負債)を計上する。
決算整理はB/Sの負債が減って、P/Lの収益が増えるという振替です。現金は動きません。
300円もらったのだから、
その年に300円の売上。
保証はこれから3年かけて提供するのに、利益が初年度に偏る
いったん契約負債に置き、
果たした分だけ売上にする。
300 × 1年/3年 = 100
| 種類 | 内容 | 収益認識の処理 | 会計処理 |
|---|---|---|---|
| 無料保証 | 初期不良の対応など、当然についている保証 (顧客から対価は受け取らない保証) |
なし ※第9章で学ぶ商品保証引当金の対象 | |
| 有償保証 | 保証期間の延長や初期不良以外の保証など、無料保証以上の保証 (顧客から対価を受け取る保証) |
当社に履行義務が生じるので売上を認識する |
売上高=契約負債300 × 1年 / 3年 = 100。時の経過に応じて、負債が収益に変わっていくと考えます。
当期首に、3年間の追加保証サービスを300円で販売し、現金を受け取った。
| <期中仕訳> 販売時 | |||
|---|---|---|---|
| 現 金〔資産+〕 | 300 | 契約負債〔負債+〕 | 300 |
※1 販売時点では履行義務を充足していないため、収益を認識しない。
※2 「3年間にわたって、保証サービスを提供する」という履行義務のうち、1年分を充足したため、その分の収益を認識する。
売上高:契約負債300×1年/3年=100
販売時点ではまだ履行義務を充足していないので、収益を認識しません。
| <決算整理仕訳> 1年経過 | |||
|---|---|---|---|
| 契約負債〔負債−〕 | 100 | 売 上〔収益+〕 | 100 |
売上高=契約負債300 × 1年 / 3年 = 100。借方が契約負債になる点に注意(負債が減る)。
| 現 金 | |
|---|---|
| 300 | |
| 契約負債 | |
|---|---|
| 100 | 300 |
| 売 上 | |
|---|---|
| 100 | |
当期首に、商品Zと4年間の有償保証を合わせて450,000円で販売し、現金を受け取った。うち440,000円が商品Zの金額、残額が有償保証の金額。
| ⑴ 販売時 | |||
|---|---|---|---|
| 現 金 | 450,000 | 売 上 | 440,000 |
| 契約負債 | 10,000 | ||
| ⑵ 決算時 | |||
| 契約負債 | 2,500 | 売 上 | 2,500 |
⑵ 売上:契約負債10,000×1年/4年=2,500
※ 契約負債は、前受金としてもよい。
履行義務が2つあるので区別して処理します。商品Z=引き渡した時点で充足 → すぐ売上440,000。保証サービス=4年かけて充足 → いったん契約負債10,000。決算で 10,000×1年/4年=2,500 を売上に振り替えます。
1.収益は履行義務を充足したときに認識する。
2.履行義務の充足には、一時点に充足する場合と一定期間にわたって充足する場合の2パターンがある。
3.収益を認識する前に対価を受け取った場合、「契約負債」勘定(負債)で処理する。
提供前はB/Sに2つ(仕掛品・契約負債)、提供後はP/Lに2つ(役務原価・役務収益)。左のB/Sから右のP/Lへ、対になって移ります。
もらった受講料はすぐ売上。
払った経費はすぐ費用。
まだ授業をしていないのに、利益が出てしまう
どちらもいったん置いておく。
提供したぶんだけ振り替える。
収益と費用が、同じタイミングで動く
| 小売業など | サービス業 | |
|---|---|---|
| 収益 | 売上 | 役務収益 |
| 費用 | 売上原価 | 役務原価 |
| 前受け | 前受金 | 契約負債 |
| 支払った費用の置き場 | (仕入) | 仕掛品 |
①②は置いておくだけ(貸借対照表)。③で損益計算書へ移ります。
| 小売業等 | サービス業 | |
|---|---|---|
| 収益 | 売上 | 役務収益 |
| 費用 | 売上原価 | 役務原価 |
やっていることは同じで、名前だけが違います。売上→役務収益、売上原価→役務原価。
①も②もいったん置いておくだけ。③で初めて損益計算書に載ります。収益と費用が同時に動くのがポイントです。
| ① 来月のセミナー受講料1,000円を現金で受け取った | |||
|---|---|---|---|
| 現 金〔資産+〕 | 1,000 | 契約負債〔負債+〕 | 1,000 |
| ② 講師の人件費・教材制作費600円を現金で支払った | |||
| 仕掛品〔資産+〕 | 600 | 現 金〔資産−〕 | 600 |
| ③ 本日、セミナーを開催した | |||
| 契約負債〔負債−〕 | 1,000 | 役務収益〔収益+〕 | 1,000 |
| 役務原価〔費用+〕 | 600 | 仕掛品〔資産−〕 | 600 |
③は2本立て。収益への振替と、費用への振替をセットで書きます。片方だけでは、役務収益と役務原価が対応しません。
| 契約負債 | |
|---|---|
| 1,000 | 1,000 |
| 仕掛品 | |
|---|---|
| 600 | 600 |
| 役務収益 | |
|---|---|
| 1,000 | |
| 役務原価 | |
|---|---|
| 600 | |
学習塾。受講料1,000円を契約負債に、役務費用600円を仕掛品に計上済み。決算日現在、講座の70%が終了している。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 契約負債〔負債−〕 | 700 | 役務収益〔収益+〕 | 700 |
| 役務原価〔費用+〕 | 420 | 仕掛品〔資産−〕 | 420 |
※1 役務収益:受講料1,000×70%=700
※2 役務原価:役務費用600×70%=420
役務収益=1,000×70%=700/役務原価=600×70%=420。収益も費用も同じ70%で按分します。収益だけを按分して費用を全額振り替えると、役務収益と役務原価が対応しなくなります。
役務収益が発生するタイミングと役務費用が発生するタイミングにほとんど差がない場合、 「仕掛品」勘定(資産)を経由せず、直接「役務原価」勘定(費用)を計上します。
【具体例】旅行業を営んでおり、事前に受け取ったツアー代金1,000円を契約負債勘定に計上している。本日、ツアーを催行し、ツアーの交通費等600円を現金で支払った。
| 契約負債〔負債−〕 | 1,000 | 役務収益〔収益+〕 | 1,000 |
| 役務原価〔費用+〕 | 600 | 現 金〔資産−〕 | 600 |
支払いと提供が同時なので、いったん仕掛品に置く意味がありません。仕掛品を通さず、そのまま役務原価にします。
2択ではありません。頭の中で答えを出してから「解説」を押してください。合っていれば「OK」、まだあやふやなら「とじる」を押してください。「とじる」を押した問題は畳まれず残ります。