第2章 収益認識(2026年8月9日 更新)

復習の間隔を変える 
みっちり ゆったり
現在:
▸ 詳細設定(1回ずつ決める)
0日にすると、そこで卒業(もう出てきません)。標準は 3 / 7 / 14 / 0 / 0 日です。
🧪 デモ表示(動作確認用・一時的)

「1回クリア/2回/3回」「復習待ち」「卒業」「未着手」がどう見えるかを、架空の記録を入れて確かめられます。 いま入っている自分の記録は預かっておき、「元に戻す」で戻します。

何を学ぶ?① 契約しただけでは、なぜ売上にならない?教科書 第1節1・p38
この話のゴール:売上を計上する「時点」を、たった1つの基準で言えるようになること。
3級では「商品を売ったら売上」と習いました。ではいつ売ったことになるのか。
基準はひとつ、顧客との約束(=履行義務)を果たした時点です。
この章の話は、すべてここから枝分かれします。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p38
Q. 売上を計上する時点を決めるものは?
履行義務を充足したかどうか。この章の話は、すべてこの1点から枝分かれします。
このタブの内容売掛金と売上はどこ?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(売掛金流動負債 固定資産固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 売上原価・販管費売上

引き渡した瞬間に、B/Sの資産(売掛金)とP/Lの収益(売上)が同時に増えます

よくある誤解

契約したら売上。
お金をもらったら売上。

契約を結んだ → 売上1,000
入金があった → 売上1,000

売上の日が、そのつどブレる

正しい理解

基準はひとつだけ。
約束を果たした(引き渡した)時点

契約を結んだ → 仕訳なし
引き渡した  → 売上1,000
入金があった → 売上は動かない

お金の動きとは無関係に決まる

基礎チェック ─ 誤解の正体教科書 p38
Q. 「代金をもらったら売上」は正しい?
正しくない。入金は売上の判断材料になりません。決めるのは約束を果たしたかどうかだけです。
用語 ─ 履行義務:顧客との約束のこと。商品Xの販売契約なら「商品Xを顧客に渡すこと」が履行義務。
用語 ─ 充足:履行義務を果たすこと。売上は、履行義務を充足したときに認識する。
損益計算書(P/L)
費用収益
借方=左貸方=右
貸借対照表(B/S)
資産負債
純資産
借方=左貸方=右

教科書の各ページ下部にある図です。資産・費用は左、負債・純資産・収益は右。この章に出てくる勘定は、必ずこの5つのどれかに入ります。
売上=収益(右)/返金負債・契約負債=負債(右)/仕掛品=資産(左)/役務原価=費用(左)

基礎チェック ─ 履行義務とは教科書 p38
Q. 履行義務とは何のこと?
顧客との約束。代金を受け取る権利は売掛金(債権)のことで、別のものです。
② 図解 ─ 売上はいつ生まれるか
取引は必ずこの順に進む ─ 売上が生まれるのは1か所だけ
① 契約を結ぶ
「商品Xを渡す」という約束(履行義務)が生まれた。
仕訳なし
② 商品を引き渡す
約束を果たした=履行義務を充足
ここで売上
1,000
③ 代金を回収
売掛金が現金に変わるだけ。
売上は動かない

お金を受け取ったかどうかは関係ありません。約束を果たしたかどうかだけで決まります。

基礎チェック ─ 場面の理解教科書 p38
Q. 商品を掛けで販売し、すでに売上を計上した。後日その代金を現金で回収した。売上は増える?
増えない。売上は引き渡した時点で計上済み。回収は資産の中身が入れ替わるだけです。

契約しただけでは、まだ売上ではない

契約を結ぶ
約束(履行義務)が発生
売上なし
商品を引き渡す
履行義務を充足
ここで売上
代金を回収
売掛金が現金に変わるだけ
売上なし

お金を受け取ったかどうかは関係ありません。約束を果たしたかどうかだけで決まります。

基礎チェック ─ 収益の認識時点教科書 p38
Q. 売上はいつ認識する?
履行義務を充足したとき。入金は関係ありません。掛けで売っても、その時点で売上になります。
③ 仕訳
仕訳例2-1 一時点で履行義務を充足する場合(教科書 p38)

以前に商品Xを1,000円で販売する契約を締結。本日、顧客へ商品Xを引き渡した。代金は後日回収する。

借方貸方
売掛金〔資産+〕1,000 売 上〔収益+〕1,000

履行義務は「商品Xを引き渡すこと」。だから引き渡した時点で売上を認識します。契約を結んだ日には仕訳をしません。

ひと言アドバイス普通の商品販売の場合には、日商簿記3級で学んだとおり、商品の販売時点で売上を認識すれば大丈夫だよ。
基礎チェック ─ 仕訳の読み教科書 p38
Q. 商品1,000円を引き渡し、代金は後日回収する。この仕訳の借方が「売掛金」になるのはなぜ?
代金が後日回収だから。現金で受け取っていれば借方は現金。貸方の売上1,000は、どちらでも同じです。
この仕訳を勘定ごとに書き写すと(転記)
資産が増えた
売掛金
1,000
収益が増えた
売 上
1,000
基礎チェック ─ 仕訳の形教科書 p38
Q. 契約を締結しただけの時点で、仕訳は必要?
仕訳なし。約束が生まれただけで、まだ果たしていません。
教科書 p38 の POINT

1.売上は、履行義務を充足した時点で認識する。

穴埋め

履行義務

何を学ぶ?① 同じ取引なのに、なぜ売上の日がずれる?教科書 第1節2・p39〜40
この話のゴール:3つの基準を見分けて、期末をまたぐ商品を正しく処理できること。
「引き渡した時点で売上」といっても、商品は ①出荷 → ②着荷 → ③検収 と3段階を踏みます。
どの時点を「引き渡した」とみなすか。3つとも認められています
だから資料には必ず「当社は◯◯基準を採用している」と書いてあります。それを探すのが第一歩です。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p39
Q. 出荷・着荷・検収のうち、売上にしてよいのは?
3つのどれでもよい。
このタブの内容期末に売上を取り消すと?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(売掛金)が減る流動負債 棚卸資産(商品)が戻る固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 売上原価・販管費売上が減る

検収基準で未検収分を取り消すと、売上と売掛金の両方が減ります。片方だけ直すのは誤りです。

よくある誤解

商品を出したのだから、
当期の売上に決まっている。

期末に出荷済み・未検収 3,000
→ 当期の売上に含める

採用基準を読んでいない

正しい理解

会社がどの基準を採用しているかで変わる。
資料に必ず書いてある。

出荷基準 → 当期の売上
検収基準 → 当期の売上にしない

まず「◯◯基準」の一文を探す

基礎チェック ─ 誤解の正体教科書 p39
Q. 「商品を出したのだから当期の売上」は正しい?
採用基準しだい。出荷基準なら正しく、検収基準なら誤り。どの基準を採用しているかで決まります。
出荷基準:売上を、商品の出荷時点で認識する方法。
着荷基準:売上を、商品が顧客に到着した時点で認識する方法。
検収基準:売上を、顧客が商品の検収を行った時点で認識する方法。検収=到着した商品が注文どおりか確認すること。
基礎チェック ─ 3つの基準の見分け教科書 p39
Q. 商品が顧客に到着した時点で売上を認識する方法は?
着荷基準。検収基準は、到着したあとに顧客が中身を確認した時点です。
Q. 出荷基準・着荷基準・検収基準のうち、認められているのはどれ?
3つとも認められている。会社がどの基準を採用するかによって決まります。
② 図解 ─ 3つの分かれ目
教科書 p39 の図 ─ 商品は必ずこの順に進む(①出荷 → ②着荷 → ③検収)
① 出荷時
A社(当社)の倉庫から商品が出荷された。
出荷基準
ここで売上
② 着荷時
B社(顧客)のもとへ商品が到着した。
着荷基準
ここで売上
③ 検収時
B社(顧客)が商品の検収を行った(注文どおりかの確認)。
検収基準
ここで売上

商品の動きはどの基準でもまったく同じ。会社が線をどこに引いているかだけが違います。この3点の間に決算日が来ると、当期か翌期かが分かれます。

基礎チェック ─ 用語の識別教科書 p39
Q. 「検収」とは何をすること?
顧客が確認すること。倉庫から出すのは出荷です。検収まで待つのが最も遅い基準になります。

同じ取引でも、採用する基準で売上の日が変わる

① 出荷
当社から商品が出る
出荷基準はここ
② 着荷
顧客に商品が届く
着荷基準はここ
③ 検収
顧客が中身を確認
検収基準はここ

期末をまたぐと差が出ます。出荷済み・未検収の商品は、出荷基準なら当期の売上、検収基準なら当期の売上にしない

基礎チェック ─ 基準の影響教科書 p39〜40
Q. 出荷基準・着荷基準・検収基準のうちどれを採用するかで、何が変わる?
計上する日。金額は変わりません。期末をまたぐと、当期か翌期かが変わるのが影響の中身です。
3月28日に出荷、4月2日に検収。決算日は3月31日。
3/28
出荷
3/30
着荷
4/2
検収
3/31 決算日
当期の売上翌期の売上 出荷基準○ 計上する 着荷基準○ 計上する 検収基準○ 翌期にまわる
基礎チェック ─ 期末の判定教科書 p39〜40
Q. 検収基準を採用。3/28出荷・4/2検収、決算日3/31。当期の売上になる?
ならない。検収基準では検収の報告を受けて初めて売上。決算日時点では未検収なので翌期です。

同じ取引・同じ商品でも、採用している基準しだいで当期の売上が変わります

③ 仕訳
仕訳例2-2 出荷基準等(教科書 p39)

⑴ B社から注文を受け、商品100円を出荷(代金は掛け)/⑵ 商品がB社に到着/⑶ B社から検収の報告。

採用する基準⑴ 出荷⑵ 着荷⑶ 検収
出荷基準 売掛金100/売上100 仕訳なし 仕訳なし
着荷基準 仕訳なし 売掛金100/売上100 仕訳なし
検収基準 仕訳なし 仕訳なし 売掛金100/売上100

仕訳の中身は3つとも同じ。違うのはどの行に書くかだけです。

基礎チェック ─ 仕訳の中身教科書 p39〜40
Q. 売上を計上する仕訳の中身は、出荷基準・着荷基準・検収基準のどれを採用するかで変わる?
変わらない。どの基準でも「売掛金/売上」。違うのはいつ書くかだけです。
教科書 p40 の POINT

1.売上の認識基準として、「出荷基準」、「着荷基準」、「検収基準」がある。

実践チェック
実践チェック ─ 3つの基準教科書 p39〜40
Q1. 検収基準を採用。期末に出荷済み・先方未検収の商品3,000がある。当期の売上に含める? 解説に戻る
含めない。検収基準では検収の報告を受けて初めて売上。出荷時に売上を上げていたなら、決算で取り消します。
Q2. 出荷基準を採用。期末に出荷済み・未着荷の商品がある。売上は? 解説に戻る
当期の売上。(仕訳例2-2型)出荷基準は出荷した時点で確定。あとの着荷・検収では仕訳なしです。
Q3. 資料に採用基準の記載がある場合、どこを見て判断する? 解説に戻る
資料の一文。3つとも認められているため、どれを使うかは会社が決めて資料に書いてある
穴埋め

出荷基準・着荷基準・検収基準

何を学ぶ?① 1,000円受け取ったのに、なぜ売上は950円?教科書 第1節3・p41〜43
この話のゴール:売る側か買う側かを見分けて、返金負債を使うかどうかを判断できること。
たくさん買ってくれた得意先には、あとで代金の一部を返す(=割戻し・リベート)ことがあります。
1,000円を全額売上にすると、50円返した時点で売上が過大だったとわかる。
だから 返す見込みの分は、最初から売上にしない
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p41
Q. 返すと見込んだ金額は、売上に含める?
含めない。返す見込みの分は、最初から売上から除きます。
よくある誤解

受け取った1,000円は、
全部が売上。

現金 1,000 / 売上 1,000

50円返した瞬間に、売上が過大だったと判明する

正しい理解

返す見込みの50円は、
最初から売上にしない

現金 1,000 / 売上 950
      / 返金負債 50

あとで返しても、売上は動かない

基礎チェック ─ 誤解の正体教科書 p41
Q. 販売額1,000円を受け取ったが、うち50円はあとでリベートとして返す見込み。「1,000円を全部売上」の何が問題?
返す分まで収益にしている点。受け取った金額1,000は正しく、問題は売上の金額です。
用語 ─ 割戻し(リベート):一定期間に一定額以上の商品を購入してくれた購入者に対して、代金の一部を還元すること。
用語 ─ 変動対価:事後的に対価が変わる可能性がある場合のこと。割戻しを行っていると、顧客が一定額以上買うかどうかで対価が変わるため、変動対価にあたる。
勘定科目 ─ 返金負債(負債):リベートを支払う(または代金を減額する)と見積もった金額。リベートに関する支払義務を意味する。
このタブの内容返金負債はどこに載る?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(現金・売掛金) 流動負債(返金負債 固定資産固定負債 【純資産】 資本金・利益剰余金 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 売上原価・販管費売上(950) 営業外費用営業外収益

返金負債は B/S の負債。P/L の費用ではありません。減るのは費用ではなく売上のほう、という関係が図で確かめられます。

② 図解 ─ 受け取った1,000円の行き先
取引の流れ ─ 「分ける」作業が入るのは②
① 商品を売る
たくさん買ってくれる得意先。「いっぱい買えば、あとで一部返す」約束がある。
まだ何も起きない
② 代金1,000を受け取る
1,000円まるごと受け取った。けれど50円は自分のものにならない
でも、あとで50円は返しそう…
売上
950
返金負債
50
③ あとで50円を返す
約束どおりリベートを支払う。
売上は動かない

②で先に分けておくから、③で返しても売上が狂いません。これが売上割戻しの処理です。

基礎チェック ─ 場面の理解教科書 p41
Q. 販売額1,000円のうち50円は返す見込み。代金1,000円を現金で受け取った時点で、資産はいくら増える?
1,000。現金は1,000そのまま増えます。分かれるのは貸方(収益と負債)のほうです。

販売額1,000円のうち、50円は返す見込み

受け取った代金 1,000
▼  返す見込みの分を切り分ける  ▼
売上 950
50
売上(収益)= 自分のものになる分 返金負債(負債)= 返す義務がある分

代金は1,000円受け取っているので、資産は1,000円増える。増えた1,000円の内訳が、収益950と負債50に分かれる、という形です。

基礎チェック ─ 図の読み教科書 p41
Q. 販売額1,000円のうち50円を返す見込みとして処理した。売上950と返金負債50を足すと何になる?
受け取った代金1,000。受け取った額を、自分のものになる分と返す分に割っているだけです。
③ 仕訳
仕訳例2-3 売上割戻し(教科書 p41)

顧客Aに商品Yを1,000円で販売し、現金を受け取った。リベートとして、販売額のうち50円は返金すると見込んでいる。

借方貸方
現 金〔資産+〕1,000 売 上〔収益+〕950
返金負債〔負債+〕50

売上=販売額1,000 −返金負債50 = 950

基礎チェック ─ 仕訳の読み教科書 p41
Q. 販売額1,000円のうち50円を返す見込み。代金は現金で受け取った。この仕訳で借方の現金はいくら?
1,000。受け取った現金は全額。分かれるのは貸方だけです。
この仕訳を、勘定ごとに書き写すと(転記)
資産が1,000増えた
現 金
1,000
収益は950だけ
売 上
950
返す義務が50残る
返金負債
50

左(借方)に1,000、右(貸方)に950+50。左右の合計が必ず一致します。

基礎チェック ─ 転記の確認教科書 p41
Q. 販売額1,000円(うち50円は返す見込み)を現金で受け取った。借方の現金1,000に対して、貸方は?
950と50。T字勘定でも左右の合計は必ず一致します(1,000=950+50)。
基礎チェック ─ 売上割戻しの基本形教科書 p41・p43
Q1. 将来リベートを支払うと見込まれる金額は、どう扱う?
収益として認識しない。返すと見込んだ分は自分のものにならないため、最初から売上から除きます。
Q2. 「返金負債」勘定は、どの区分の勘定?
負債。リベートを支払う(代金を減額する)という義務を表します。
Q3. 事後的に対価が変わる可能性がある場合を何という?
変動対価。履行義務は「顧客との約束」のこと。事後的に対価が変わる可能性がある場合を変動対価といい、返金負債を計上します。
例題2-1 ⑴(教科書 p43)

商品Rを540,000円で掛販売。変動対価を含む取引と判断し、うち19,000円は返金すると見積もった。

借方貸方
売掛金540,000 売 上521,000
返金負債19,000

売上=540,000 − 19,000 = 521,000。掛けでも現金でも、借方が変わるだけで貸方の考え方は同じです。

⑵ 以前に購入した商品Sについて、本日リベート42,000円の通知を受け、同額の買掛金が減額されることとなった
買 掛 金〔負債−〕42,000 仕 入〔費用−〕42,000

買う側(仕入割戻し)は返金負債を使わず、仕入を減額します。売る側と処理が違う点が問われます。

基礎チェック ─ 掛販売のとき教科書 p43
Q1. 売上割戻し(返す見込みあり)の販売で、代金が現金ではなく掛けになると、貸方の処理は変わる?
変わらない。回収方法が何であれ、返すと見込んだ分を売上から除くという考え方は同じです。
Q2. 販売額540,000、返金見込19,000。売掛金に計上する金額は?
540,000。減るのは売上であって、請求する債権の額ではありません。借方は販売額のまま、貸方だけが2つに割れます。
仕訳例2-4 仕入割戻し ─ 買う側は扱いが違う(教科書 p42)

商品Yを1,000円で購入し、現金を支払った。
⑵ 商品Yの購入額が一定額を超えたため、リベートとして現金50円を受け取った。

割戻しを受ける側は、特別な会計処理を行いません。すなわち、仕入時は対価の全額を「仕入」勘定(費用)に計上し、その後、割戻しを受けた場合は、「仕入」勘定を減額します。

借方貸方
⑴ 仕 入1,000現 金1,000
⑵ 現 金50仕 入50

⑵は例題2-1では「買掛金42,000/仕入42,000」の形でも出ます。返金負債は出てきません。仕訳の形は返品(仕入戻し)と同じです。

ひと言アドバイス仕入割戻しの場合、リベートの金額分だけ仕入を取り消す処理を行うよ。仕訳の形自体は、返品(仕入戻し)と同じだね。
基礎チェック ─ 買う側(仕入割戻し)教科書 p42
Q1. 割戻しを受ける側は、仕入時にどう処理する?
全額を仕入に計上する。買う側は特別な会計処理を行いません。見積もりは不要です。
Q2. 実際に割戻しを受けたときは、何を減らす?
仕入を減額する。返金負債は売る側だけの勘定です。仕訳の形は返品(仕入戻し)と同じになります。
教科書 p43 の POINT

1.将来、売上割戻しが見込まれる場合、売上の金額は当該金額を控除して算定する。
2.売上割戻しの見積額は、「返金負債」勘定(負債)を計上する。

実践チェック
チェック(実践・やや難)─ 売上割戻し教科書 p41〜43
Q1. 販売額1,000、リベート見込50。売上に計上する金額は? 解説に戻る
950。受け取った現金は1,000でも、売上は1,000−50=950。貸方は、売上950と返金負債50に分けますです。
Q2. 売上高1,840,000、リベート率3%。返金負債の金額は? 解説に戻る
55,200。1,840,000×3%=55,200。誤答の1,784,800は売上のほうの金額です。問われているのが売上か返金負債かを取り違えないこと。
Q3. 当社は商品Sを仕入れている取引先から、リベート42,000円の通知を受けた。返金負債を計上する? 解説に戻る
計上しない。まず当社は買う側だと見抜くこと。買う側は特別な処理をせず、仕入を減額するだけです。返金負債は売る側だけの勘定。「リベート」の語だけを見て反射的に返金負債を書くことのないようにします。
Q4. 決算で返金負債55,200を計上した。損益計算書への影響は? 解説に戻る
売上が減り、利益も減る。返金負債は費用ではなく負債なので、費用は増えません。減るのは売上のほうです。「返金=お金が出る=費用」と考えると、という誤りが生じます。
穴埋め

売上割戻し(リベート)

  • 一定期間に一定額以上を購入した顧客に代金の一部を還元することを 割戻し(リベート)という。
  • 事後的に対価が変わる可能性がある場合を 変動対価 という。
  • 将来、売上割戻しが見込まれる場合、その金額については収益を 認識しない
  • 売上割戻しの見積額は 返金負債 勘定(負債)で処理する。
  • 売上の金額 = 販売額 返金負債の見積額。
  • 割戻しを受ける側(仕入割戻し)は特別な処理をせず、仕入 を減額する。
何を学ぶ?① 3年分の保証料300円、いつ売上になる?教科書 第2節1・p44〜46
この話のゴール:契約負債を期間で按分し、商品と保証を分けて処理できること。
保証には2種類あります。無料保証(初期不良対応など、当然ついてくる)と、有償保証(保証期間の延長など、お金を取る)。
有償保証はお金を受け取る=約束を負うので、履行義務になります。
しかも「3年間ずっと保証する」という約束は、3年かけて少しずつ果たされる。だから売上も3年に分けます。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p44
Q. 3年間の保証を売ったとき、収益はいつ認識する?
3年にわたって。約束が3年かけて果たされるので、収益もそれに合わせます。
このタブの内容契約負債はどこに載る?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(現金)流動負債(契約負債 固定資産固定負債(長期の契約負債) P/L 損益計算書 【費用】【収益】 売上原価・販管費売上(果たした分だけ)

決算整理はB/Sの負債が減って、P/Lの収益が増えるという振替です。現金は動きません。

よくある誤解

300円もらったのだから、
その年に300円の売上。

1年目 売上 300
2年目 売上 0
3年目 売上 0

保証はこれから3年かけて提供するのに、利益が初年度に偏る

正しい理解

いったん契約負債に置き、
果たした分だけ売上にする。

1年目 売上 100(残り契約負債200)
2年目 売上 100
3年目 売上 100

300 × 1年/3年 = 100

基礎チェック ─ 誤解の正体教科書 p44〜45
Q. 3年間の有償保証300円を販売し、代金を受け取った。「もらった年に300円を売上」の何が問題?
果たしていない分まで収益にしている点。保証はこれから3年かけて提供します。
教科書 p44 の表 ─ 商品の保証には2つある
種類内容収益認識の処理会計処理
無料保証初期不良の対応など、当然についている保証
(顧客から対価は受け取らない保証)
なし
※第9章で学ぶ商品保証引当金の対象
有償保証保証期間の延長や初期不良以外の保証など、無料保証以上の保証
(顧客から対価を受け取る保証)
当社に履行義務が生じるので売上を認識する
無料保証:顧客から対価を受け取らない保証。収益認識の処理はなし(商品保証引当金の対象)。
有償保証:顧客から対価を受け取る保証。履行義務が生じるので売上を認識する。
勘定科目 ─ 契約負債(負債):収益を計上する前に対価を受け取った場合の負債。3級で習った「前受金」勘定と同じ。前受金としてもよい。
② 図解 ─ 300円を3年で分ける
3年間の保証を300円で販売した ─ 時間の流れで見る
販売(期首) 現金300を受け取る
1年目 100 2年目 100 3年目 100 … まだ1つも果たしていない
売上(累計)0契約負債(残高)300
1年後(決算) 1年ぶんを充足
1年目 100 ← ここが売上になる
売上(累計)100契約負債(残高)200
2年後(決算) 2年ぶんを充足
2年目 100 ← ここが売上になる
売上(累計)200契約負債(残高)100
3年後(保証終了) すべて充足
3年目 100 ← ここが売上になる
売上(累計)300契約負債(残高)0
緑=果たし終わった約束(売上にする分)/灰=これから果たす約束(契約負債のまま)
決算のたびに1マスずつ緑になり、負債が収益へ移っていきます。受け取った現金300は、最初に1回動いたきりです。
基礎チェック ─ 場面の理解教科書 p45
Q. 期首に3年間の有償保証300円を販売し、代金300円を受け取った。この時点で売上はいくら?
0。受け取った300はいったん契約負債。1年たって初めて100が売上になります。

受け取った300円は、まだ全部が売上ではない

販売時に受け取った現金 300(=契約負債)
▼  1年たった(3年のうち1年ぶんの約束を果たした)  ▼
売上 100
契約負債 200(残り2年ぶん)
売上= 果たした分 契約負債= これから果たす分

売上高=契約負債300 × 1年 / 3年 = 100。時の経過に応じて、負債が収益に変わっていくと考えます。

基礎チェック ─ 図の読み教科書 p45
Q. 3年間の有償保証300円を販売し、契約負債に計上した。1年経過後、契約負債の残高はいくら?
200。300のうち100を売上に振り替えたので、残り2年ぶんの200が負債として残ります。
教科書 p45 の図 ─ 3年間の履行義務のうち、1年ぶんを充足
販売保証終了
¥300履行義務(3年間、保証サービスを提供する)
¥100履行義務の充足部分
緑の部分だけが「果たし終わった約束」。ここに対応する¥100 について 売上を認識し、残り¥200は契約負債のまま次期へ持ち越します。
基礎チェック ─ 時間軸の読み教科書 p45
Q. 3年間の有償保証300円のうち、1年が経過した。この「充足した部分(100)」が表すのは?
果たし終わった部分。残りの2年ぶん(200)はこれから果たす分で、契約負債のままです。
③ 仕訳
仕訳例2-5 有償保証(教科書 p45)

当期首に、3年間の追加保証サービスを300円で販売し、現金を受け取った。

<期中仕訳> 販売時
現 金〔資産+〕300 契約負債〔負債+〕300

※1 販売時点では履行義務を充足していないため、収益を認識しない。
※2 「3年間にわたって、保証サービスを提供する」という履行義務のうち、1年分を充足したため、その分の収益を認識する。
  売上高:契約負債300×1年/3年=100

販売時点ではまだ履行義務を充足していないので、収益を認識しません。

<決算整理仕訳> 1年経過
契約負債〔負債−〕100 売 上〔収益+〕100

売上高=契約負債300 × 1年 / 3年 = 100。借方が契約負債になる点に注意(負債が減る)。

基礎チェック ─ 仕訳の読み教科書 p45
Q. 3年間の有償保証300円を販売し、現金を受け取った。販売時の仕訳で、貸方に立てるのは?
契約負債300。販売時点では履行義務を充足していないので、収益は認識しません。
期中と決算を、契約負債の勘定で見ると
受け取った
現 金
300
決算で100だけ減る(残200)
契約負債
100300
1年ぶんだけ収益に
売 上
100
基礎チェック ─ 転記の確認教科書 p45
Q. 契約負債300のうち100を売上に振り替える決算整理で、契約負債の勘定はどちら側に書く?
借方。負債が減るので左。増えたのは貸方の売上です。
基礎チェック ─ 有償保証の基本形教科書 p44〜45
Q1. 無料保証について、収益認識に関する処理は?
ない。対価を受け取っていないので履行義務も生じません。契約負債が出てくるのは有償保証だけです。
Q2. 有償保証の代金を受け取った時点で、貸方は?
契約負債。まだ保証サービスを提供していないため、収益にはなりません。
Q3. 3年契約300円のうち、1年経過後に売上とする金額は?
100。履行義務のうち1年分だけを充足したので、その分だけを収益にします。
例題2-2 商品と保証をセットで売ったら(教科書 p45〜46)

当期首に、商品Zと4年間の有償保証を合わせて450,000円で販売し、現金を受け取った。うち440,000円が商品Zの金額、残額が有償保証の金額。

⑴ 販売時
現 金450,000 売 上440,000
契約負債10,000
⑵ 決算時
契約負債2,500 売 上2,500

⑵ 売上:契約負債10,000×1年/4年=2,500
※ 契約負債は、前受金としてもよい。

履行義務が2つあるので区別して処理します。商品Z=引き渡した時点で充足 → すぐ売上440,000。保証サービス=4年かけて充足 → いったん契約負債10,000。決算で 10,000×1年/4年=2,500 を売上に振り替えます。

基礎チェック ─ セット販売教科書 p45〜46
Q1. 商品と有償保証をセットで売った。履行義務はいくつ?
2つ。果たすタイミングが違うため、区別して会計処理します。
Q2. 商品440,000と4年間の有償保証10,000をセットで販売した。商品440,000の部分は、販売時にどうする?
売上を計上する。商品は引き渡した時点が充足時点。契約負債になるのは保証サービスの部分だけです。
教科書 p46 の POINT

1.収益は履行義務を充足したときに認識する。
2.履行義務の充足には、一時点に充足する場合と一定期間にわたって充足する場合の2パターンがある。
3.収益を認識する前に対価を受け取った場合、「契約負債」勘定(負債)で処理する。

実践チェック
実践チェック ─ 履行義務教科書 p38
Q1. 商品を1,000円で販売する契約を結んだ。まだ引き渡していない。仕訳は? 解説に戻る
仕訳なし。(仕訳例2-1型)契約は約束が生まれただけで、まだ果たしていません。簿記では「契約を結んだ」だけでは何も起きません。
Q2. 商品を引き渡したが、代金は来月入金予定。売上を計上する? 解説に戻る
する。(仕訳例2-1型)引き渡した=履行義務を充足。入金を待つのは現金主義という誤った考え方です。
実践チェック
実践チェック ─ 有償保証教科書 p44〜46
Q1. 期首に商品400,000と2年間の有償保証20,000をセットで販売。当期に計上する売上の合計は? 解説に戻る
410,000。商品400,000+保証20,000×1年/2年=10,000。受取総額420,000をそのまま売上にはしませんです。
Q2. 決算整理で契約負債を売上に振り替える。借方の勘定科目は? 解説に戻る
契約負債。決算ではお金は動きません。負債が減って収益に変わるだけ。現金を書いてしまうのは、期中仕訳と混同したときの誤りです。
Q3. 「初期不良に対応する無料保証を付けて商品を販売した」。契約負債を計上する? 解説に戻る
しない。「保証」の語を見た瞬間に契約負債を書くのが誤り。有償か無料かを先に判断します。無料保証は商品保証引当金の話(第9章)です。
穴埋め

有償保証(保証サービス)

何を学ぶ?① 塾やホテルは、なぜ勘定科目の名前が違う?教科書 第2節2・p47〜48
この話のゴール:契約負債 → 仕掛品 → 役務収益・役務原価の流れを、自分で書けること。
塾・ホテル・コンサルなど、モノではなくサービスを売る会社の話です。
特徴は2つ。代金を先にもらうことが多いこと、そして勘定科目の名前が変わること。
やっていることは有償保証と同じ「前受け→提供したぶんだけ収益」です。名前が違うだけと思ってください。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p47
Q. サービス業で、収益と費用を計上するのはいつ?
提供したとき。受取・支払の時点では、いったん契約負債・仕掛品に置くだけです。
このタブの内容4つの勘定はどこに載る?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(仕掛品流動負債(契約負債 固定資産固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 役務原価役務収益

提供前はB/Sに2つ(仕掛品・契約負債)、提供後はP/Lに2つ(役務原価・役務収益)。左のB/Sから右のP/Lへ、対になって移ります。

よくある誤解

もらった受講料はすぐ売上。
払った経費はすぐ費用。

受講料1,000 → 売上 1,000
経費600   → 費用 600

まだ授業をしていないのに、利益が出てしまう

正しい理解

どちらもいったん置いておく
提供したぶんだけ振り替える。

受講料1,000 → 契約負債
経費600   → 仕掛品
提供時 → 役務収益・役務原価へ

収益と費用が、同じタイミングで動く

基礎チェック ─ 誤解の正体教科書 p47
Q. 「もらった受講料はすぐ売上」の何が問題?
まだ提供していないのに利益が出る点。収益も費用も、提供した時点まで待ちます。
仕掛品(資産):サービスに関連する費用の支払額を、いったん処理する勘定。
役務収益(収益):サービス業における売上
役務原価(費用):サービス業における売上原価
「仕掛品」は工業簿記の勘定。まだ提供途中だから、いったんここに置く、というイメージ。

名前が変わるだけ ─ 対応表

小売業などサービス業
収益売上役務収益
費用売上原価役務原価
前受け前受金契約負債
支払った費用の置き場(仕入)仕掛品
基礎チェック ─ 勘定科目の対応教科書 p47〜48
Q. サービス業における「売上原価」にあたる勘定は?
役務原価。仕掛品は資産で、費用になる前の置き場です。
② 図解 ─ お金と勘定の流れ
3段階で進む ─ 損益計算書に載るのは③から
① 代金を前受け
受講料1,000を先に受け取った。まだセミナーは開いていない。
契約負債
1,000
② 費用を支払う
講師代・教材費600を支払った。まだ提供していない。
仕掛品
600
③ セミナーを開催
ここで初めて、収益と費用が同時に生まれる。
役務収益
1,000
役務原価
600

①②は置いておくだけ(貸借対照表)。③で損益計算書へ移ります。

基礎チェック ─ 場面の理解教科書 p47〜48
Q. 受講料1,000を前受けし、講師代など600を支払った。セミナー開催前のこの時点で、損益計算書に載るものは?
ない。契約負債は負債、仕掛品は資産。どちらも貸借対照表の項目です。
教科書 p48 の表 ─ 小売業等とサービス業で勘定科目が違う
小売業等サービス業
収益売上役務収益
費用売上原価役務原価

やっていることは同じで、名前だけが違います。売上→役務収益、売上原価→役務原価。

受け取る → 使う → 提供する、の3段階

① 代金を前受け
現金 / 契約負債
まだ収益ではない
② 費用を支払う
仕掛品 / 現金
まだ費用ではない
③ サービスを提供
契約負債 → 役務収益
仕掛品 → 役務原価
ここで収益・費用

①も②もいったん置いておくだけ。③で初めて損益計算書に載ります。収益と費用が同時に動くのがポイントです。

基礎チェック ─ 図の読み教科書 p47〜48
Q. ①代金を前受け ②費用を支払う ③サービスを提供。収益と費用が生まれるのはどの段階?
③。①②は置いておくだけ。③で収益と費用が同時に生まれます。
③ 仕訳
仕訳例2-6〜2-8 有料セミナーの例(教科書 p47〜48)
① 来月のセミナー受講料1,000円を現金で受け取った
現 金〔資産+〕1,000 契約負債〔負債+〕1,000
② 講師の人件費・教材制作費600円を現金で支払った
仕掛品〔資産+〕600 現 金〔資産−〕600
③ 本日、セミナーを開催した
契約負債〔負債−〕1,000 役務収益〔収益+〕1,000
役務原価〔費用+〕600 仕掛品〔資産−〕600

③は2本立て。収益への振替と、費用への振替をセットで書きます。片方だけでは、役務収益と役務原価が対応しません

ひと言アドバイス「仕掛品」勘定は、工業簿記で習う勘定科目で、かかった製作費のうち、まだ製作途中の場合の金額を意味するよ。仕訳例2-7の段階では、まだサービスの提供途中(もしくは提供前)だから、いったん「仕掛品」勘定とするんだ。
基礎チェック ─ 3段階の処理教科書 p47
Q. サービス提供前に受け取った代金は、何勘定で処理する?
契約負債。まだ提供していないので収益にはなりません。
Q. サービスに関連する費用を支払ったとき、いったん何勘定に入れる?
仕掛品。まだサービスを提供していないため、費用にしません。提供時に役務原価へ振り替えます。
提供完了で、B/S の2つが P/L の2つへ移る
負債が消える
契約負債
1,0001,000
資産が消える
仕掛品
600600
収益になる
役務収益
1,000
費用になる
役務原価
600
基礎チェック ─ 転記の確認教科書 p48
Q. 代金を前受けし費用も支払済み。サービスの提供が完了したとき、消えるB/Sの勘定2つは?
契約負債と仕掛品。この2つが消えて、P/Lの役務収益・役務原価に置き換わります。
仕訳例2-9 途中で決算をむかえたら(教科書 p48)

学習塾。受講料1,000円を契約負債に、役務費用600円を仕掛品に計上済み。決算日現在、講座の70%が終了している。

借方貸方
契約負債〔負債−〕700 役務収益〔収益+〕700
役務原価〔費用+〕420 仕掛品〔資産−〕420

※1 役務収益:受講料1,000×70%=700
※2 役務原価:役務費用600×70%=420

役務収益=1,000×70%=700/役務原価=600×70%=420収益も費用も同じ70%で按分します。収益だけを按分して費用を全額振り替えると、役務収益と役務原価が対応しなくなります。

基礎チェック ─ 決算時の按分教科書 p48
Q. 70%終了で決算。役務原価に振り替えるのは支払額600のうちいくら?
420。収益と費用を同じ割合で按分します。収益だけ按分して費用を全額落とすことのないようにします。
教科書 p49 の補足 ─ 仕掛品勘定を用いない場合

役務収益が発生するタイミングと役務費用が発生するタイミングにほとんど差がない場合、 「仕掛品」勘定(資産)を経由せず、直接「役務原価」勘定(費用)を計上します。

【具体例】旅行業を営んでおり、事前に受け取ったツアー代金1,000円を契約負債勘定に計上している。本日、ツアーを催行し、ツアーの交通費等600円を現金で支払った。

契約負債〔負債−〕1,000役務収益〔収益+〕1,000
役務原価〔費用+〕600現 金〔資産−〕600

支払いと提供が同時なので、いったん仕掛品に置く意味がありません。仕掛品を通さず、そのまま役務原価にします。

実践チェック
実践チェック ─ サービス業教科書 p47〜49
Q1. 受講料1,000・役務費用600を計上済み。決算日に講座の70%が終了。役務原価はいくら? 解説に戻る
420。収益と費用を同じ割合で按分します。収益だけ按分して費用を全額落とすことのないようにします。
解説に戻る">
Q2. サービス提供が完了した。必要な振替は? 解説に戻る
2本。(仕訳例2-8型)収益を計上したら、対応する費用も同時に計上します。片方だけだと利益が過大になります。
Q3. 決算で契約負債を役務収益に振り替えた。損益計算書の「売上高」の欄に載るのは? 解説に戻る
役務収益。(仕訳例2-8型)契約負債は貸借対照表の負債で、損益計算書には出ません。名前が変わるだけで、位置づけは売上と同じです。
穴埋め

サービス業の会計処理

仕上げ 問題 ─ 1問1観点で答える

2択ではありません。頭の中で答えを出してから「解説」を押してください。合っていれば「OK」、まだあやふやなら「とじる」を押してください。「とじる」を押した問題は畳まれず残ります。

① 履行義務と収益の時点

教科書 第1節1(p38)
Q1履行義務の定義
履行義務とは何のこと
顧客との約束のこと。商品Xの販売契約なら「商品Xを顧客に渡すこと」が履行義務。果たすことを「充足する」という。
Q2収益の認識時点
売上はいつ認識する?
履行義務を充足したとき。上の例なら「商品Xを顧客に渡した時点」。入金の有無は関係ない
Q3契約時の処理
販売契約を締結しただけの時点で、仕訳は必要
仕訳なし。約束が生まれただけで、まだ果たしていない。

② いつ売上を計上するか

教科書 第1節2(p39〜40)
Q43つのプロセス
商品の販売が完了するまでの3つのプロセスは?
出荷 → ②着荷 → ③検収。検収=到着した商品が注文どおりか確認すること。
Q53基準の可否
出荷基準・着荷基準・検収基準のうち、認められるのはどれ
いずれも認められている。どれを採用しているかは資料に書かれるので、まずそこを探す。
Q6期末の判定
検収基準を採用。期末に出荷済み・未検収の商品がある。当期の売上に含める?
含めない。検収の報告を受けて初めて売上になる。出荷時に計上していたなら決算で取り消す。
Q7仕訳の中身
基準が違うと、仕訳の中身も変わる?
変わらない。どの基準でも「売掛金/売上」。違うのはいつ書くかだけ。

③ 売上割戻し(リベート)

教科書 第1節3(p41〜43)
Q8用語
割戻し(リベート)とは?
一定期間に一定額以上の商品を購入してくれた購入者に対して、代金の一部を還元すること
Q9用語
変動対価とは?
事後的に対価が変わる可能性がある場合のこと。割戻しをしていると、顧客が一定額以上買うかどうかで対価が変わるため変動対価にあたる。
Q10勘定科目
将来リベートを支払うと見込まれる金額は、どの勘定でいくら計上する?
返金負債勘定(負債)。リベートに関する支払義務を意味する。費用ではない。
Q11金額の算定
販売額1,000、返金見込50。売上はいくら? その根拠は?
950。売上=販売額1,000 − 返金負債50。返すと見込まれる金額は収益として認識しない
Q12買う側
割戻しを受ける側(仕入割戻し)の処理は?
特別な会計処理を行わない。仕入時は全額を仕入に計上し、割戻しを受けたら仕入を減額する。仕訳の形は返品(仕入戻し)と同じ。返金負債は使わない
Q13財務諸表への影響
返金負債を計上すると、P/Lはどう動く
売上が減り、利益も減る。返金負債は負債なので費用は増えない。減るのは売上のほう。

④ 有償保証(保証サービス)

教科書 第2節1(p44〜46)
Q142種類の保証
無料保証と有償保証の違いと、収益認識上の扱いは?
無料保証=対価を受け取らない保証。収益認識に関連した処理はない(商品保証引当金の対象)。有償保証=対価を受け取る保証。履行義務が生じるので売上を認識する
Q15勘定科目
収益を計上する前に対価を受け取った場合の勘定は?
契約負債勘定(負債)。3級で学んだ「前受金」勘定と同じで、前受金としてもよい。
Q16期間按分
3年間の保証を300円で販売。1年経過後の売上はいくら?
100。契約負債300 × 1年/3年 = 100。決算整理で「契約負債100/売上100」。借方は契約負債(現金ではない)。
Q17複数の履行義務
商品と有償保証をセットで販売したときの考え方は?
履行義務が2つ(商品の提供・保証サービスの提供)あるので区別して処理する。商品は販売時点が充足時点なので即売上、保証は契約負債にしてから期間按分。

⑤ サービス業の会計処理

教科書 第2節2(p47〜48)
Q18勘定科目の対応
サービス業では、小売業の売上・売上原価を何という
売上→役務収益(収益)、売上原価→役務原価(費用)。
Q19前受け時
サービスを提供する前に代金を受け取ったら?
契約負債勘定(負債)または前受金勘定で処理する。
Q20費用の支払時
サービスに関連する費用を支払ったら、いったんどこに入れる?
仕掛品勘定(資産)。まだ提供途中/提供前なので費用にしない。収益を認識するタイミングで役務原価へ振り替える。
Q21提供完了時
役務提供が完了したときの振替は何本? 中身は?
2本。①契約負債 → 役務収益 ②仕掛品 → 役務原価。片方だけだと利益が過大になる。
Q22途中決算
受講料1,000・役務費用600を計上済み。決算日に70%終了。仕訳は?
役務収益=1,000×70%=700、役務原価=600×70%=420収益・費用とも同じ割合で按分する。