第5章 有価証券(2026年8月13日 更新)

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何を学ぶ?① 同じ株式なのに、なぜ勘定科目が変わる?教科書 第1節1・2・p94〜101
「価値が有る証券」を有価証券といい、有価証券は証券市場を通じて売買することができます。2級では株式公社債(国債、社債)について学習します。
有価証券の勘定科目は、株式か公社債かではなく「保有目的」で決まります。同じB社株式でも、値上がり益をねらって買ったのか、支配するために買ったのかで、勘定科目も決算の扱いも変わります。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p101
Q. 有価証券の勘定科目は、何によって決まる?
保有目的。「株式か公社債か」ではありません。ここを取り違えると、この章の全部がずれます。
このタブの内容有価証券はどこに載る?
B/S 貸借対照表 【資産】【負債】 流動資産(有価証券流動負債 固定資産(投資有価証券・子会社株式固定負債 P/L 損益計算書 【費用】【収益】 有価証券売却損・評価損受取配当金・有価証券利息

同じ「有価証券」でも、売買目的は流動資産満期保有・その他は固定資産(投資有価証券)と、載る場所が変わります。

有価証券:売買できる証券のことで、株式と公社債(国債、社債)のこと。
株式:有価証券の1つで、保有することで株主となるもの。
公社債:有価証券の1つで、満期日に償還されるもの。
償還:公社債が返済されること。 満期日:公社債が償還される日。
クーポン利息:公社債を保有している場合に、利払日に得られる利息。
図解 ─ 株式と公社債は何が違うか
教科書 p94 の図 ─ 有価証券は証券市場を通じて売買する
A社当社B社株式Z社社債日本国債証券市場売買有価証券
教科書 p96 の表 ─ 株式と公社債の違い
株式公社債
取得の実質的な意味出資貸し付け
返済されるかどうか返済されない満期日に返済(償還)される
投資の回収方法売却売却 または 償還
保有に伴う収益配当金(利益から分配)利息(保有期間に対応した一定額)
主な時価の変動要因会社の業績金利
特徴ハイリスク・ハイリターンローリスク・ローリターン

株式は出資なので返ってきません。公社債は貸し付けなので満期日に返ってきます。この一点から、他のすべての違いが出てきます。

基礎チェック ─ 株式と公社債教科書 p96
Q. 公社債の時価が動く主な要因は?
金利。市場金利が上がると公社債の時価は下がり、下がると時価は上がります(業績で動くのは株式)。
教科書 p98 の図 ─ ¥96で取得して¥100で償還される(金利調整差額)
B社社債¥96B社社債¥100A社当社B社A社当社取得日満期日社債を¥96で取得社債が¥100で償還金利調整差額¥4⇒ 満期日まで保有すれば、この分儲けを得られる

額面金額よりも低い金額で取得できれば、取得者は満期日まで保有することでその差額分だけ儲けを得ることができます。この差額を金利調整差額といいます。

ひと言アドバイス「公社債の取得」は、実質「お金を貸している」ことと同じなんだ。だから返済もされるし、保有期間にわたって利息も受け取れるんだよ。
保有目的は4つ
売買目的有価証券(資産):時価の変動により利益を得ることを目的とした株式・公社債。
満期保有目的の債券(資産):満期まで保有することを目的として保有する公社債。
子会社株式(資産):支配する目的で保有する株式。
関連会社株式(資産):影響力を行使する目的で保有する株式。
その他有価証券(資産):売買目的、満期保有目的、子会社・関連会社株式のいずれにも該当しない株式・公社債。
教科書 p99・p100 の図 ─ 子会社株式と関連会社株式
<子会社株式>

A社はB社株式の 50%超 を保有している

A社当社B社株式B社支配子会社子会社株式
<関連会社株式>

A社はB社株式の 20%以上50%以下 を保有している

A社当社B社株式B社影響力関連会社関連会社株式

株式を50%超保有していれば、その会社を支配できます。支配下にある会社を子会社、自社を親会社といいます。20%以上50%以下なら大きな影響力を行使でき、その会社を関連会社といいます。どちらとも売却することは想定していません。

基礎チェック ─ 子会社と関連会社教科書 p99〜100
Q. B社株式の30%を保有している。A社にとってB社株式は?
関連会社株式。50%超なら子会社株式(支配)、20%以上50%以下なら関連会社株式(影響力)です。
教科書 p100 の表 ─ 保有目的と有価証券の種類の関係
株式公社債
売買目的有価証券
満期保有目的の債券×※1
子会社株式・関連会社株式×※2
その他有価証券

※1 株式は返済されないので、満期という概念がありません。
※2 公社債には議決権がないため、子会社株式・関連会社株式として保有することはできません。

ひと言アドバイス「売買目的有価証券は株式のみ」って勘違いする人が多いよ。公社債の時価も日々変動するから、売買目的有価証券に分類できるよ。
教科書 p101 の表 ─ 保有目的・勘定科目・一般的な表示科目
保有目的勘定科目一般的な表示科目
売買目的有価証券売買目的有価証券有価証券
満期保有目的の債券満期保有目的債券投資有価証券
子会社株式子会社株式子会社株式
関連会社株式関連会社株式関連会社株式
その他有価証券その他有価証券投資有価証券
実践チェック
実践チェック ─ 有価証券の分類教科書 p94〜101
Q1. 満期保有目的債券は、貸借対照表にどの科目で表示する?
投資有価証券。「有価証券」で表示するのは売買目的だけです。その他有価証券も投資有価証券です。
Q2. 公社債を子会社株式として保有できる?
できない。支配は議決権によります。公社債には議決権がありません。
Q3. 額面100円の社債を96円で取得した。この差4円は何?
金利調整差額。利息の支払額を低くおさえるために、額面より低い金額で発行されることから生じます。
Q4. 売却することを想定していない有価証券はどれ?
子会社株式・関連会社株式。支配や影響力の行使が目的なので売りません。その他有価証券は将来的には売却をする有価証券です。
何を学ぶ?① 手数料はどこへ入れる? 2回に分けて買ったら?教科書 第1節3・p102〜107
有価証券を取得した場合、「売買目的有価証券」勘定(資産)などの増加とします。購入に際して証券会社への手数料が発生することがあり、この手数料は取得に係る付随費用なので、有価証券の取得原価に含めます
売却した場合は勘定を減少させ、売却金額との差額を売却益または売却損とします。同じ銘柄を2回以上にわたって取得した場合、売却原価は平均原価法により算定します。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p102
Q. 有価証券を買うときに払った証券会社への手数料は?
取得原価に含める。付随費用を取得原価に含める点は、棚卸資産や有形固定資産の取得と同じです。
有価証券売却益(収益):売買目的有価証券を帳簿価額よりも高い金額で売却した場合の収益。
投資有価証券売却益(収益):その他有価証券を帳簿価額よりも高い金額で売却した場合の収益。
有価証券売却損(費用):売買目的有価証券を帳簿価額よりも低い金額で売却した場合の費用。
投資有価証券売却損(費用):その他有価証券を帳簿価額よりも低い金額で売却した場合の費用。
平均原価法:同じ銘柄の有価証券を2回以上にわたって取得した場合の取得単価の計算方法で、移動平均法と同様の計算方法。
図解 ─ 取得原価の式
教科書 p102 の式 ─ 取得原価

取得原価 = 購入代価 + 付随費用

※ 株式の購入代価:1株当たりの購入価格 × 株数
  公社債の購入代価:1口当たりの購入価格 × 口数

ひと言アドバイス公社債の1口当たりの額面金額は100円と決まっているよ。額面金額100,000円の公社債なら、口数は1,000口(=100,000÷@100)だね。
仕訳 ─ 取得と売却
仕訳例5-1 有価証券の取得(教科書 p102)

当社は、売買目的有価証券として保有する目的でB社株式を1株当たり100円で10株購入し、購入手数料20円を合わせた1,020円を現金で支払った。

売買目的有価証券〔資産+〕1,020 現  金〔資産−〕1,020

売買目的有価証券:@100×10株+付随費用20=1,020

仕訳例5-2 有価証券の売却 [仕訳例5-1の続き](教科書 p103)

上記のB社株式(取得原価1,020)を、1,050で売却し現金を受け取った。

現  金〔資産+〕1,050 売買目的有価証券〔資産−〕1,020
有価証券売却益〔収益+〕30

売却金額1,050 > 帳簿価額1,020 なので「有価証券売却益」勘定の発生。有価証券売却益:売却金額1,050 − 取得原価1,020 = 30

教科書 p103 の表 ─ 保有目的別の売却損益の勘定科目
保有目的売却益の勘定科目(収益)売却損の勘定科目(費用)
売買目的有価証券有価証券売却益有価証券売却損
その他有価証券投資有価証券売却益投資有価証券売却損
基礎チェック ─ 売却損益の勘定教科書 p103
Q. その他有価証券を帳簿価額より高く売った。売却益の勘定科目は?
投資有価証券売却益。売買目的なら「有価証券売却益」。表示科目と同じく、投資が付くかどうかで見分けます。
2回に分けて買った場合 ─ 平均原価法
仕訳例5-3 平均原価法(教科書 p104)

B社株式5株を1株当たり200円で売却し現金を受け取った。なお、B社株式は下記のとおり過去2回にわたって取得しており、売却原価は平均原価法により算定する。
第1回取得:20株 @120円  第2回取得:10株 @180円

現  金〔資産+〕1,000 売買目的有価証券〔資産−〕700
有価証券売却益〔収益+〕300

① 取得原価と株式数の合計:20株×@120=2,400、10株×@180=1,800 → 合計30株=4,200
② 平均単価:取得原価合計4,200 ÷ 株式数合計30株 = @140
③ 売却原価:5株 × 平均単価@140 = 700

基礎チェック ─ 平均原価法教科書 p104
Q. 20株@120と10株@180を取得している。平均単価は?
@140。単価どうしを平均するのではなく、金額の合計 ÷ 株数の合計で計算します。
例題5-1(教科書 p105)

⑴ A社株式を1株50,000円で8株購入し、手数料5,000円とともに現金で支払った。
⑵ A社株式を1株53,000円で2株購入し、手数料3,000円とともに現金で支払った。
⑶ 保有するA社株式のうち3株を売却した。売却金額は1株当たり54,000円であり、代金は現金で受け取った(手数料はないものとする)。なお、売却原価は平均原価法により算定する。

番号借方科目金額貸方科目金額
売買目的有価証券405,000現 金405,000
売買目的有価証券109,000現 金109,000
現 金162,000売買目的有価証券154,200
有価証券売却益7,800

⑴ 8株×@50,000+付随費用5,000=405,000  ⑵ 2株×@53,000+付随費用3,000=109,000
⑶ 平均単価:取得原価合計514,000(=405,000+109,000)÷ 株式数合計10株 = @51,400
  売却原価:3株×@51,400=154,200  売却金額:3株×@54,000=162,000
  有価証券売却益:162,000 − 154,200 = 7,800

例題5-2(教科書 p106)

⑴ A社は、B社が発行した社債(額面金額300,000円)を1口100円につき1口96円で購入し、手数料1,000円とともに現金で支払った。
⑵ A社は、保有するB社社債のすべてをC社に売却した。売却金額は1口95円であり、代金は現金で受け取った(手数料はないものとする)。

番号借方科目金額貸方科目金額
売買目的有価証券289,000現 金289,000
現 金285,000売買目的有価証券289,000
有価証券売却損4,000

⑴ 購入代価:額面金額300,000 ÷ @100 × @96 = 288,000(取得口数3,000口
  取得原価:購入代価288,000 + 付随費用1,000 = 289,000
⑵ 現金(売却金額):額面金額300,000 ÷ @100 × @95 = 285,000
  有価証券売却損:売却金額285,000 − 売却原価289,000 = △4,000

教科書 p107 の POINT

1.取得原価 = 購入代価 + 付随費用
2.有価証券売却損益は、売却金額と帳簿価額の差額として計算する。
3.有価証券を2回以上にわたって取得した場合、売却原価は平均原価法により算定する。

実践チェック
実践チェック ─ 取得と売却教科書 p102〜107
Q1. 額面金額300,000円の社債を1口96円で購入した。購入代価は?
288,000円。1口当たりの額面は100円なので口数は3,000口。3,000口×@96=288,000です。
Q2. 帳簿価額289,000の社債を285,000で売却した。差額4,000は?
有価証券売却損。評価損は決算で時価に直したときに使う勘定です。売ったときは売却損。
Q3. 売却時に生じた手数料100円は、どう処理する?
売却損益と相殺するか、支払手数料。取得原価に含めるのは買うときの手数料だけです。
Q4. 平均原価法を使うのはどんなとき?
同じ銘柄を2回以上取得したとき。計算方法は商品の移動平均法と同じです。
何を学ぶ?① 配当金と利息で、なぜ勘定が別なのか教科書 第1節4・p108〜110
株式を保有している場合は配当金を、公社債を保有している場合はクーポン利息を受け取ることができます。保有しているのが株式か公社債かで、受け取れるものが違います。
受け取ったときは収益の発生とします。勘定科目は、配当金なら「受取配当金」、クーポン利息なら「有価証券利息」です。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p109
Q. 公社債のクーポン利息を受け取った。収益の勘定科目は?
有価証券利息。公社債の利息は、「受取利息」勘定ではなく「有価証券利息」勘定とする点に注意しましょう。
受取配当金(収益):配当金を受け取った場合の収益。
有価証券利息(収益):クーポン利息を受け取った場合の収益。
配当金領収証:配当金の引換券で、通貨代用証券の1つ。
公社債の利札:クーポン利息の引換券で、利払日が到来した利札は通貨代用証券となる。
図解 ─ 配当金領収証は「現金」になる
教科書 p108 の図 ─ 配当金領収証を銀行で換金する
配当金領収証¥100配当金領収証¥100¥100B社A社当社銀行

配当金領収証は配当金の引換券のようなもので、手元に届いた配当金領収証を金融機関で換金することで配当金を現金化します。

ひと言アドバイス保有しているのが、株式か公社債かで、受け取れるものが違うので注意しよう!
教科書 p108 の式 ─ クーポン利息

<利払日が年1回の場合>

クーポン利息 = 額面金額 × 年利率

<利払日が年2回(半年払い)の場合>

クーポン利息 = 額面金額 × 年利率 × 6ヶ月/12ヶ月

クーポン利息は額面金額に利率を乗じて計算されます。取得価額ではありません。

教科書 p109 の表 ─ 受け取ったものと勘定科目
勘定科目(収益)
配当金受取配当金
クーポン利息有価証券利息

なお、配当金領収証は通貨代用証券です。そのため、配当金領収証を受け取った時点で「現金」勘定(資産)の増加とします。同様に、利払日の到来した公社債の利札も通貨代用証券なので、利払日が到来した時点で「現金」勘定の増加とします。

仕訳 ─ どちらも借方は「現金」
仕訳例5-4 配当金の受取(教科書 p109)

保有するB社株式について、同社から配当金領収証100円が送付されてきた。

現  金〔資産+〕100 受取配当金〔収益+〕100

配当金領収証は通貨代用証券なので、「現金」勘定の増加。

仕訳例5-5 クーポン利息の受取(教科書 p110)

X1年3月31日、保有するB社社債について利札100円の利払日が到来した。

現  金〔資産+〕100 有価証券利息〔収益+〕100

利払日の到来した公社債の利札は通貨代用証券なので、「現金」勘定の増加。

基礎チェック ─ 借方の勘定教科書 p109〜110
Q. 配当金領収証100円が送付されてきた。借方は?
現金100。配当金領収証は通貨代用証券(第3章)です。受け取った時点で現金の増加とします。
例題5-3(教科書 p110)

⑴ 保有するA社株式について、配当金領収証20,000円を受け取った。
⑵ 保有するB社社債(額面金額:100,000円、利率:年6%、利払:年2回)の利札の利払日が到来した。

番号借方科目金額貸方科目金額
現 金20,000受取配当金20,000
現 金3,000有価証券利息3,000

配当金領収証および利払日の到来した公社債の利札は通貨代用証券であるため、どちらも「現金」勘定(資産)の増加とする。
⑵の金額:額面金額100,000 × 6% × 6ヶ月/12ヶ月 = 3,000(利払は年2回なので半年分)

教科書 p110 の POINT

1.配当金は「受取配当金」勘定(収益)で処理し、クーポン利息は「有価証券利息」勘定(収益)で処理する。
2.配当金領収証および利払日の到来した公社債の利札は通貨代用証券であるため、どちらも「現金」勘定(資産)の増加とする。
3.クーポン利息は額面金額に利率を乗じて算定する。

実践チェック
実践チェック ─ 配当金と利息教科書 p108〜110
Q1. 額面100,000円・年利率6%・利払年2回。1回の利息は?
3,000円。年2回なら1回あたりは半年分です。年利率をそのまま使わないこと。
Q2. クーポン利息は、何に利率を掛けて計算する?
額面金額。96円で買った社債でも、利息は額面100円を基礎に計算されます。
Q3. 株式を保有していて受け取れるのは?
配当金。利益が出なければもらえません。公社債の利息は業績と関係なく一定額です。
Q4. まだ利払日が到来していない利札は、通貨代用証券?
ならない。通貨代用証券はすぐ換金できるものです。利払日前の利札はまだ換金できません。
何を学ぶ?① 利払日以外に売買すると、なぜ利息の精算が要る?教科書 第1節5・p111〜117
公社債の売買を利払日以外で行う場合、売買日に購入者から売却者に対して端数利息の支払いが行われます。端数利息とは、直前の利払日の翌日から売買日までの利息のことです。
利息は保有期間に応じて発生するものであるため、端数利息のやりとりが必要になります。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p111
Q. 端数利息とは、どの期間の利息?
直前の利払日の翌日から売買日まで。売った人が保有していた期間の利息です。
端数利息:公社債の売買を利払日以外で行う場合の、直前の利払日の翌日から売買日までの利息。
図解 ─ 利札は買った人が全額もらってしまう
教科書 p111〜112 の図 ─ なぜ端数利息のやりとりが必要か
B社社債利札 ¥60端数利息 ¥20A社C社B社A社C社利払日6/30売買日8/31利払日12/31利札をつけたまま売却12/31の利息¥60は C社が全額受け取る売買日に、A社が保有した2ヶ月分をC社からA社に支払う

A社は6/30〜8/31の2ヶ月間保有していたのに、12/31の利息60円は利札を持っているC社が全額受け取ります。そこで、売買日にC社が2ヶ月分の20円をA社に支払います。これが端数利息です。

ひと言アドバイス現金の増加理由が売却と端数利息の受取の2つあるから、別々に考えるのがポイントだよ。
仕訳 ─ 売る側と買う側
仕訳例5-6 端数利息①(売却側)(教科書 p113)

A社は、売買目的有価証券として保有する目的で取得したB社社債(取得原価:9,800円、額面金額:10,000円、クーポン利率:年1.2%、利払日:6月末および12月末)を、8月31日にC社に9,900円で売却し、端数利息とともに現金で受け取った。なお、利息の計算は月割計算による。

現  金〔資産+〕9,920 売買目的有価証券〔資産−〕9,800
有価証券売却益〔収益+〕100
有価証券利息〔収益+〕20

この仕訳は次の①と②を合算したものです。
① B社社債の売却:(借)現金9,900/(貸)売買目的有価証券9,800・有価証券売却益100
  有価証券売却損益は裸相場により計算します(端数利息を含まない金額を裸相場といいます)。
② 端数利息の受取:(借)現金20/(貸)有価証券利息20
  有価証券利息:額面金額10,000×1.2%×2ヶ月(7月〜8月)/12ヶ月=20

仕訳例5-7 端数利息②(購入側) [仕訳例5-6のC社における仕訳](教科書 p114)
売買目的有価証券〔資産+〕9,900 現  金〔資産−〕9,920
有価証券利息〔収益−〕20

購入日における端数利息の支払は、「有価証券利息」勘定(収益)のマイナスとして処理します。こうすることで、次の利払日の有価証券利息と相殺され、保有期間に対応した収益を計算することができるのです。
この後、12/31に6ヶ月分の利息60円を受け取ると、C社の有価証券利息の残高は保有期間である4ヶ月(9月〜12月)分に対応する40円になります。

基礎チェック ─ 購入側の処理教科書 p114
Q. 購入側が支払った端数利息20円は、どう処理する?
有価証券利息のマイナス。次の利払日に受け取る利息と相殺され、自分が保有した期間の分だけ収益が残ります。
端数利息は日割りが原則
教科書 p115 の式 ─ 端数利息

端数利息 = 額面金額 × 年利率 × 直前の利払日の翌日から売買日までの日 ÷ 365日

ここまで端数利息は月割計算をしていましたが、利息は日割計算が原則です。

ひと言アドバイス各月のうち、2月、4月、6月、9月、11月は1ヶ月の日数が31日ではなく、30日だよ(2月は28日)。西向く侍(にしむくさむらい)と覚えよう!
※ 2(に)、4(し)、6(む)、9(く)、11(十一→士→さむらい)
例題5-4(教科書 p115)

D社がX1年9月13日にかねて額面100円につき96円で購入したZ社社債(額面金額20,000円)を、E社に売却した。売却金額は額面100円につき98円であり、代金は端数利息を含め現金で受け取った。なお、同社債は利率:年7.3%、利払日:6月末と12月末の年2回である。1年間は365日である。

借方科目金額貸方科目金額
現 金19,900売買目的有価証券19,200
有価証券売却益400
有価証券利息300

現金(売却価額):額面金額20,000 ÷ @100 × @98 = 19,600
売買目的有価証券(売却原価):額面金額20,000 ÷ @100 × @96 = 19,200
有価証券売却益:19,600 − 19,200 = 400
有価証券利息(端数利息):額面金額20,000×7.3%×75日(7.1〜9.13)÷365日=300
 7月31日+8月31日+9月13日=75日

例題5-5(教科書 p117)

⑴ E社はX1年9月13日に、Z社社債(額面金額20,000円)を額面100円につき98円でD社から購入した。代金は端数利息を含め現金で支払った。
⑵ X1年12月31日となり、Z社社債の利払日をむかえた。

番号借方科目金額貸方科目金額
売買目的有価証券19,600現 金19,900
有価証券利息300
現 金730有価証券利息730

⑵の金額:額面金額20,000×7.3%×6ヶ月(7月〜12月)/12ヶ月=730
 ※ 利払日の利息(利札記載の金額)は、月割計算により算定されます。
結果として、E社の有価証券利息は △300 + 730 = +430(E社の保有期間9/14〜12/31に対応する利息)になります。

教科書 p117 の POINT

1.公社債の売買を利払日以外で行う場合、購入者から売却者に対して端数利息の支払いが行われる。
2.売却側は、社債の売却と端数利息の受取を同時に行ったとみなして会計処理を行う。
3.購入側は、社債の購入と端数利息の支払を同時に行ったとみなして会計処理を行う。なお、支払った端数利息は「有価証券利息」勘定(収益)のマイナスとして処理する。

実践チェック
実践チェック ─ 端数利息教科書 p111〜117
Q1. 端数利息は、誰が誰に支払う?
購入者が売却者に。利札は購入者が持つことになり、次の利払日に利息を全額受け取るからです。
Q2. 端数利息を含む9,920円を受け取った。売却損益はどの金額で計算する?
裸相場9,900円。端数利息は売却代金ではなく利息なので、売却損益の計算からは外します。
Q3. 額面20,000円・年7.3%、7/1〜9/13の75日分の端数利息は?
300円。端数利息は日割計算が原則です。7月31日+8月31日+9月13日=75日。
Q4. 端数利息300円を払い、利払日に730円受け取った。有価証券利息の残高は?
430円。払った端数利息を収益のマイナスにしておくことで、自分が持っていた期間の利息だけが残ります。
何を学ぶ?① 決算で時価に直すもの、直さないもの教科書 第2節1・2・p118〜123
有価証券の評価額(貸借対照表計上額)は保有目的別に定められています。そのため、有価証券の決算は保有目的ごとに異なります。
売買目的有価証券は短期的な売買を目的とした有価証券なので、「いま売ったらいくらになるか」という情報が重要です。だから決算において時価評価します。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p118
Q. 決算で時価評価するのは、どの有価証券?
売買目的有価証券とその他有価証券。満期保有目的の債券と子会社株式・関連会社株式は時価評価しません。
時価評価:貸借対照表計上額を時価にすること。
図解 ─ 保有目的別の一覧
教科書 p118 の表 ─ 保有目的別の評価額と時価評価差額の処理
保有目的評価額時価評価差額の処理
売買目的有価証券時価当期の損益
満期保有目的の債券取得原価または償却原価
子会社株式・関連会社株式取得原価
その他有価証券時価純資産の部に直接計上
教科書 p118 の図 ─ B/S計上額は時価か、そうでないか
時価評価する
売買目的有価証券(時価)
その他有価証券  (時価)

B/S計上額は時価
期末の売却額を意味する

時価評価しない
満期保有目的債券(償却原価)
子会社株式   (取得原価)

B/S計上額は時価ではない
期末の売却額を意味しない

ひと言アドバイスざっくりわけると、時価評価するかどうかなんだ。ただ、細かい部分で色々変わってくるから、4つの保有目的ごとにしっかりおさえないといけないよ。
有価証券評価益(収益):売買目的有価証券の時価評価益。
有価証券評価損(費用):売買目的有価証券の時価評価損。
教科書 p119 の図 ─ 時価評価差額は損益になる

値上がりの場合:帳簿価額 < 時価 ・・・ 収益の発生
値下がりの場合:帳簿価額 > 時価 ・・・ 費用の発生

時価評価差額を損益(収益または費用)とするのは、売買目的有価証券はいつでも時価で売却できるからです。

仕訳 ─ 差額を評価益・評価損に
仕訳例5-8・5-9 売買目的有価証券の決算整理(教科書 p120)

決算整理前残高試算表の売買目的有価証券は1,000(=帳簿価額)である。

① 値上がり(期末時価1,100)
売買目的有価証券〔資産+〕100 有価証券評価益〔収益+〕100

有価証券評価益:時価1,100 − 帳簿価額1,000 = 100

② 値下がり(期末時価900)
有価証券評価損〔費用+〕100 売買目的有価証券〔資産−〕100

有価証券評価損:時価900 − 帳簿価額1,000 = △100

教科書 p120 の図 ─ 財務諸表はこう変わる
[仕訳例5-8]値上がり
損益計算書
 有価証券評価益 100
+100
貸借対照表
売買目的有価証券 1,100
+100
繰越利益剰余金
→ +100
[仕訳例5-9]値下がり
損益計算書
有価証券評価損 100
+100
 
貸借対照表
売買目的有価証券 900
△100
繰越利益剰余金
→ △100

時価評価差額は損益計算書に計上され、当期純利益を増減させます。その結果、貸借対照表の純資産(繰越利益剰余金)を増減させます。

基礎チェック ─ 評価差額の行き先教科書 p120〜121
Q. 売買目的有価証券の時価評価差額は、どこに計上する?
当期の損益計算書。純資産に直接計上するのはその他有価証券です(このあとのタブ)。
仕訳例5-10 売買目的有価証券の決算整理③(値上がりと値下がりがある場合)(教科書 p121)

決算整理前残高試算表の売買目的有価証券は1,000。売買目的有価証券は、A社株式とB社株式を処理したものであり、帳簿価額と時価は次のとおりである。

帳簿価額時 価
A社株式600円800円
B社株式400円300円
売買目的有価証券〔資産+〕100 有価証券評価益〔収益+〕100

複数銘柄で値上がりと値下がりがある場合、評価益と評価損は相殺して純額を当期の損益とします。
有価証券評価益:時価合計1,100 − 帳簿価額合計1,000 = 100

例題5-6(教科書 p122)

決算整理前残高試算表の売買目的有価証券は150,000。売買目的有価証券の期末時価は157,000円である。

借方科目金額貸方科目金額
売買目的有価証券7,000有価証券評価益7,000
決算整理後残高試算表
借方残高勘定科目貸方残高
157,000売買目的有価証券
有価証券評価(益)7,000

有価証券評価益:時価157,000 − 帳簿価額150,000(前T/B計上額)= 7,000(益)
決算整理後の売買目的有価証券:150,000 + 7,000 = 157,000(=期末時価)

教科書 p123 の POINT

1.売買目的有価証券は、決算整理仕訳において時価評価する。
2.時価評価差額は、「有価証券評価益」勘定(収益)、「有価証券評価損」勘定(費用)として、当期の損益計算書に計上する。

実践チェック
実践チェック ─ 売買目的の決算教科書 p118〜123
Q1. 帳簿価額150,000、期末時価157,000。B/Sの計上額は?
157,000。売買目的は時価評価するので、B/S計上額=期末時価になります。
Q2. A社株式は+200、B社株式は△100。損益はどう計上する?
相殺して純額。評価益と評価損は相殺して純額を当期の損益とします。
Q3. 評価益100を計上した。B/Sの純資産はどうなる?
100増える。P/Lの利益はB/Sの純資産につながります。
Q4. 決算で時価評価しないのはどれ?
子会社株式。売却を想定していないため、時価情報は不要です。取得原価のままです。
何を学ぶ?① 時価評価しないのに、なぜ帳簿価額が動く?教科書 第2節3・p124〜127
満期保有目的の債券は、満期まで保有することを目的としており、売却することは想定していません。よって、時価情報は不要であるため時価評価はしません
ただし、額面金額(債券金額)と異なる金額で取得した場合において、その差額が金利調整差額である場合は、償却原価法を適用します。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p124
Q. 満期保有目的の債券を時価評価しないのはなぜ?
売却を想定していないから。公社債にも時価はありますが、満期まで持つなら「いま売ったらいくら」は関係ありません。
有価証券利息(収益):クーポン利息と償却額を処理する勘定。
償却原価法:債券の帳簿価額が満期日に額面金額となるように、一定額を帳簿価額に毎期加算する会計処理。
償却原価:償却原価法を適用した後の帳簿価額。
図解 ─ 帳簿価額が額面に近づいていく
教科書 p124 の式 ─ 償却額と償却原価

毎期の償却額 =(額面金額 − 取得価額)÷ 償還期間

※ 会計期間の途中で取得した場合、月割計算をする。

償却原価 = 帳簿価額(決算整理前残高)+ 当期の償却額

↳ 満期保有目的債券のB/S計上額となります。

教科書 p125 の図 ─ 9,700で取得した社債が3年で10,000になる
帳簿価額9,700帳簿価額9,800帳簿価額9,900帳簿価額10,000取得日満期日取得価額 9,700額面金額 10,000差額 300毎期、100ずつ帳簿価額に加算する※ 差額300 ÷ 償還期間3年 = 100償却額 +100償却額 +100償却額 +100= 額面金額 10,000※ 償却額を加算した後の帳簿価額を「償却原価」という

取得価額9,700と額面金額10,000の差額300を、償還期間3年で割った100ずつを毎期の帳簿価額に加算します。満期日には帳簿価額が額面金額と一致します。

ひと言アドバイス償却原価法は帳簿価額を額面金額に近づけていく処理だから、「今、売ったらいくらになるか?」を算定する時価評価とは根本的に違う会計処理だよ。
仕訳 ─ 相手勘定は「有価証券利息」
仕訳例5-11 満期保有目的の債券の決算整理(教科書 p125)

決算整理前残高試算表の満期保有目的債券は9,700。満期保有目的債券は当期首に取得したものであり、額面金額は10,000円、償還期間は3年である。決算に際して、定額法による償却原価法を適用する。

満期保有目的債券〔資産+〕100 有価証券利息〔収益+〕100

有価証券利息:(額面金額10,000 − 前T/B 9,700)÷ 3年 = 100

基礎チェック ─ 償却額の相手勘定教科書 p125
Q. 償却額100を計上する。相手勘定(貸方)は?
有価証券利息。金利調整差額は実質的に利息なので、クーポン利息と同じ勘定で処理します。
例題5-7(教科書 p126)

決算日(X2年3月31日)となったため、決算整理手続きを行う。決算整理前残高試算表は、満期保有目的債券90,000(借方)、有価証券利息4,000(貸方)である。
満期保有目的の債券は、X1年4月1日に取得したものであり、額面金額は100,000円、クーポン利率年4%、利払日年1回(3月末日)、満期日X6年3月31日である。決算に際して、定額法による償却原価法を適用する。

借方科目金額貸方科目金額
満期保有目的債券2,000有価証券利息2,000

1.決算整理仕訳の金額
  有価証券利息:(額面金額100,000 − 取得価額90,000)÷ 償還期間5年 = 2,000
2.決算整理後残高試算表の金額
  満期保有目的債券:取得価額90,000 + 償却額2,000 = 92,000
  有価証券利息:クーポン利息4,000(前T/B)+ 償却額2,000 = 6,000
3.前T/Bの有価証券利息4,000は、期中(3月31日)に受け取ったクーポン利息(=額面100,000×4%)

ひと言アドバイスクーポン利息も償却額も勘定科目は「有価証券利息」を用いるよ。どちらも同じ勘定科目で処理することで、債券から生じた収益の総額を算定できるんだ。
教科書 p127 の POINT

1.満期保有目的の債券は、決算整理仕訳において償却原価法を適用する。そのため、貸借対照表計上額は、帳簿価額に償却額を加えた金額(償却原価)となる。
2.償却額は「有価証券利息」勘定(収益)で処理する。

実践チェック
実践チェック ─ 満期保有目的の債券教科書 p124〜127
Q1. 取得価額90,000、当期の償却額2,000。B/S計上額は?
92,000。時価評価しないので、B/S計上額は償却原価です。
Q2. 額面100,000、取得90,000、償還期間5年。毎期の償却額は?
2,000円。差額を償還期間で割り、毎期一定額を加算します(定額法)。
Q3. 償却原価法を続けると、満期日の帳簿価額はどうなる?
額面金額と一致する。そうなるように毎期一定額を加算するのが償却原価法です。
Q4. 会計期間の途中で取得した場合、償却額はどう計算する?
月割計算。保有していた期間に対応する分だけを加算します。
何を学ぶ?① 時価評価するのに、なぜ損益にしない?教科書 第2節4・5・p128〜132
子会社株式・関連会社株式は、基本的には売却はせず長期間保有し続けます。よって、時価情報は不要であるため時価評価しません。帳簿価額(取得原価)で貸借対照表に計上するため、決算整理仕訳はありません
一方、その他有価証券は将来的には売却をする有価証券なので、売買目的有価証券と同様に時価評価します。しかし、すぐに売却するわけではないため、時価評価差額を当期の損益とするのは不適切です。よって、評価差額は当期の損益とせず、直接純資産の金額を増減させます。この会計処理を全部純資産直入法といいます。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p129
Q. その他有価証券の時価評価差額は、どこへ行く?
純資産の部に直接。すぐに売却するわけではないので、当期の損益とするのは不適切だからです。
子会社株式・関連会社株式は「仕訳なし」
仕訳例5-12 子会社株式の決算整理(教科書 p128)

決算整理前残高試算表の子会社株式は1,000。子会社株式の期末時価は1,100円である。

仕 訳 な し

子会社株式は時価評価しない。時価が1,100円であっても、帳簿価額1,000円のままです。

教科書 p128 の POINT

1.子会社株式・関連会社株式は時価評価しないため、決算整理仕訳も行わない。

その他有価証券 ─ 純資産に直接入れる
その他有価証券評価差額金(純資産):その他有価証券の時価評価差額。
全部純資産直入法:時価評価差額を損益とせず、直接純資産の金額を増減させる会計処理。
仕訳例5-13・5-14 その他有価証券の決算整理(教科書 p129〜130)

決算整理前残高試算表のその他有価証券は1,000(B社株式を処理したもの)。

① 値上がり(期末時価1,100)
その他有価証券〔資産+〕100 その他有価証券評価差額金〔純資産+〕100

その他有価証券評価差額金:時価1,100 − 帳簿価額1,000 = 100

② 値下がり(期末時価900)
その他有価証券評価差額金〔純資産−〕100 その他有価証券〔資産−〕100

その他有価証券評価差額金:時価900 − 帳簿価額1,000 = △100

教科書 p130 の図 ─ 損益計算書には何も載らない
[仕訳例5-13]値上がり
損益計算書
 収益は計上しない
貸借対照表
その他有価証券 1,100
+100
その他有価証券評価差額金 100
+100
[仕訳例5-14]値下がり
損益計算書
費用は計上しない 
貸借対照表
その他有価証券 900
△100
その他有価証券評価差額金 △100
ひと言アドバイスすぐに売却はしないから、値上がり分だけ儲かったとはするのは不適切なんだ。だから、収益の発生とはせず、純資産を直接増加させるんだよ。
基礎チェック ─ 値下がりのとき教科書 p130
Q. その他有価証券が1,000から900に値下がりした。借方は?
その他有価証券評価差額金。値下がりでも費用は計上しません。純資産を直接減らします。
例題5-8(教科書 p131)

決算整理前残高試算表のその他有価証券は150,000。その他有価証券の期末時価は157,000円である。

借方科目金額貸方科目金額
その他有価証券7,000その他有価証券評価差額金7,000
決算整理後残高試算表
借方残高勘定科目貸方残高
157,000その他有価証券
(その他有価証券評価差額金)7,000

その他有価証券評価差額金:時価157,000 − 帳簿価額150,000(前T/B計上額)= 7,000(益)
決算整理後のその他有価証券:150,000 + 7,000 = 157,000(=期末時価)

教科書 p132 の POINT

1.その他有価証券は、決算整理仕訳において時価評価する。
2.時価評価差額は、「その他有価証券評価差額金」勘定(純資産)として、貸借対照表の純資産の部に直接計上する。

実践チェック
実践チェック ─ 子会社株式とその他有価証券教科書 p128〜132
Q1. 子会社株式(帳簿1,000・時価1,100)の決算整理仕訳は?
仕訳なし。時価評価しないので、決算整理仕訳そのものがありません。
Q2. その他有価証券が値上がりした。P/Lにはどう影響する?
影響しない。B/Sの資産と純資産が同時に増えるだけです。
Q3. 評価差額を損益とせず、純資産を直接増減させる処理を何という?
全部純資産直入法。償却原価法は満期保有目的の債券の処理です。
Q4. その他有価証券(帳簿150,000・時価157,000)のB/S計上額は?
157,000。時価評価はするのがその他有価証券。差額の行き先が損益でないだけです。
何を学ぶ?① 時価に直した金額は、翌期どうなる?教科書 第3節・p133〜136
第2節で、売買目的有価証券とその他有価証券は期末に時価評価することを学習しました。本節では、時価評価した有価証券の翌期の取り扱いを学習します。
売買目的有価証券の翌期の会計処理には「洗替方式」「切放方式」の2つがあります。
基礎チェック ─ この節のねらい教科書 p133
Q. 洗替方式とは、翌期首に何をする方法?
再振替仕訳を行う。もう一方(当期末の時価をそのまま帳簿価額にする)が切放方式です。
洗替方式:当期末に行った時価評価の仕訳について、翌期首に再振替仕訳を行う方法。
切放方式:当期末の時価評価額を翌期の帳簿価額とする方法。
図解 ─ 同じ取引でも、途中経過が違う
教科書 p134 の図 ─ 洗替方式と切放方式(取得100 → 期末時価120 → 翌期150で売却)
<洗替方式>
X1 年度X2 年度取得原価時価X1年度末100+20120繰越X2年度首100120△20取得原価に戻す⇒ 洗替え100売却益+50150売却益は取得原価との差額で算定する
<切放方式>
X1 年度X2 年度取得原価時価X1年度末100+20120繰越X2年度首120時価のまま⇒ 切放し120売却益+30150売却益は前期末時価との差額で算定する

※ どちらの方法によったとしてもX2年度の損益の合計金額は一致します。
 洗替方式:期首洗替△20 + 売却益50 = 30  切放方式:期首洗替ゼロ + 売却益30 = 30

基礎チェック ─ 売却益の基準教科書 p134
Q. 洗替方式の場合、翌期の売却損益は何との差額で算定する?
取得原価。再振替仕訳で帳簿価額が取得原価に戻るからです。切放方式なら前期末の時価との差額になります。
仕訳 ─ 翌期首に戻すか、戻さないか
例題5-9(教科書 p135)

売買目的有価証券として保有するA社株式(取得原価100円)の時価は120円である。そこで、①洗替方式を採用している場合と②切放方式を採用している場合の必要な仕訳を示しなさい。

① 洗替方式
借方科目金額貸方科目金額
当期末売買目的有価証券20有価証券評価益20
翌期首有価証券評価益20売買目的有価証券20

翌期首に再振替仕訳を行い、帳簿価額を取得原価100に戻します。

② 切放方式
借方科目金額貸方科目金額
当期末売買目的有価証券20有価証券評価益20
翌期首仕 訳 な し

翌期首は何もしません。帳簿価額は時価120のままです。

その他有価証券は洗替方式のみ
その他有価証券は洗替方式のみが認められています。切放方式は認められていません。
ひと言アドバイスその他有価証券は時価評価差額を損益に計上しないから、売却した場合の損益(売却損益)は必ず取得原価と売却額との差額で算定するんだ。だから、切放方式ではダメなんだよ。
例題5-10(教科書 p136)

その他有価証券として保有するA社株式(取得原価100円)の時価は120円である。そこで、必要な仕訳を示しなさい。

借方科目金額貸方科目金額
当期末その他有価証券20その他有価証券評価差額金20
翌期首その他有価証券評価差額金20その他有価証券20

洗替方式のみなので、翌期首に必ず再振替仕訳を行います。

教科書 p136 の POINT

1.その他有価証券の決算後の会計処理は、洗替方式のみが認められる。

実践チェック
実践チェック ─ 翌期の会計処理教科書 p133〜136
Q1. 切放方式の場合、翌期首の仕訳は?
仕訳なし。当期末の時価をそのまま翌期の帳簿価額とします。
Q2. その他有価証券に切放方式は使える?
使えない。売却損益を取得原価との差額で算定する必要があるためです。
Q3. 洗替方式と切放方式で、翌期の損益の合計は違う?
同じ。洗替は「△20+50」、切放は「0+30」で、どちらも30です。
Q4. 洗替方式で再振替仕訳をした直後の帳簿価額は?
取得原価。だから売却損益も取得原価との差額で計算します。
仕上げ 問題 ─ 1問1観点で答える

2択ではありません。頭の中で答えを出してから「解説」を押してください。合っていれば「OK」、まだあやふやなら「とじる」を押してください。「とじる」を押した問題は畳まれず残ります。

① 有価証券とは・保有目的

教科書 第1節1・2(p94〜101)
Q14つの保有目的
有価証券の4つの保有目的と、それぞれの定義を言える?
売買目的有価証券(時価の変動により利益を得る目的)・満期保有目的の債券(満期まで保有する目的)・子会社株式/関連会社株式(支配/影響力の行使)・その他有価証券(いずれにも該当しない)。勘定科目は「株式か公社債か」ではなく保有目的で決まる。
Q2株式と公社債の違い
株式と公社債の実質的な意味と回収方法の違いは?
株式=出資で返済されない(回収は売却のみ、収益は配当金)。公社債=貸し付けで満期日に償還される(回収は売却または償還、収益は利息)。
Q3子会社と関連会社
子会社株式と関連会社株式を分ける持株比率は?
50%超なら子会社株式(支配)、20%以上50%以下なら関連会社株式(影響力の行使)。どちらも売却は想定していない。
Q4表示科目
売買目的・満期保有・その他有価証券のB/Sの表示科目は?
売買目的=有価証券(流動資産)、満期保有目的とその他=投資有価証券(固定資産)。子会社株式・関連会社株式はそのままの名称。

② 取得と売却

教科書 第1節3(p102〜107)
Q5取得原価
有価証券の取得原価の式と、手数料の扱いは?
取得原価 = 購入代価 + 付随費用。購入時の手数料は付随費用として取得原価に含める(売却時の手数料は含めない)。
Q6公社債の口数
額面300,000円の社債を1口96円で買った。購入代価は?
1口当たりの額面は100円なので口数は3,000口。3,000口×@96=288,000円。「額面金額 ÷ @100 × @購入価格」で計算する。
Q7平均原価法
20株@120と10株@180を取得した。平均単価と売却原価(5株)は?
平均単価=(2,400+1,800)÷30株=@140。売却原価=5株×@140=700。単価どうしを平均しない。

③ 配当金とクーポン利息

教科書 第1節4(p108〜110)
Q82つの収益の勘定
配当金とクーポン利息の勘定科目と、借方に来るものは?
配当金=受取配当金、クーポン利息=有価証券利息(受取利息ではない)。配当金領収証も利払日の到来した利札も通貨代用証券なので、借方は現金
Q9クーポン利息の計算
額面100,000円・年利率6%・利払年2回。1回の利息は?
100,000×6%×6ヶ月/12ヶ月3,000円。クーポン利息は額面金額に利率を乗じて計算する(取得価額ではない)。

④ 端数利息

教科書 第1節5(p111〜117)
Q10端数利息とは
端数利息とは何で、誰が誰に払う?
直前の利払日の翌日から売買日までの利息。次の利払日に利息を全額受け取るのは購入者なので、購入者が売却者に支払う
Q11売却側の仕訳
取得原価9,800の社債を9,900で売り、端数利息20とともに受け取った。仕訳は?
(借)現金9,920/(貸)売買目的有価証券9,800・有価証券売却益100・有価証券利息20。売却損益は裸相場(端数利息を含まない9,900)で計算する。
Q12購入側の仕訳
購入側が支払った端数利息20は、どの勘定でどう処理する? 理由も。
「有価証券利息」(収益)のマイナス。次の利払日に受け取る利息と相殺され、自分が保有した期間に対応する収益だけが残るため。
Q13日割計算
額面20,000円・年7.3%・7/1〜9/13。端数利息は?
20,000×7.3%×75日÷365日300円。日数は7月31日+8月31日+9月13日=75日。端数利息は日割計算が原則

⑤ 決算 ─ 売買目的

教科書 第2節1・2(p118〜123)
Q14保有目的別の評価額
4つの保有目的の評価額と差額の処理を言える?
売買目的=時価/当期の損益。満期保有=取得原価または償却原価/−。子会社・関連会社=取得原価/−。その他=時価/純資産の部に直接計上
Q15評価益と評価損
売買目的の時価評価差額の勘定科目と、複数銘柄のときの扱いは?
値上がり=有価証券評価益(収益)、値下がり=有価証券評価損(費用)。複数銘柄で益と損があるときは相殺して純額を当期の損益とする。

⑥ 決算 ─ 満期保有目的

教科書 第2節3(p124〜127)
Q16償却原価法
償却原価法とは何をする処理で、なぜ時価評価と違う?
債券の帳簿価額が満期日に額面金額となるよう、一定額を毎期加算する処理。時価評価は「今売ったらいくらか」を出す処理で、目的が根本的に違う。
Q17償却額と相手勘定
額面100,000・取得90,000・償還5年。毎期の償却額と相手勘定は?
(100,000−90,000)÷5年=2,000。相手勘定は有価証券利息(収益)。クーポン利息と同じ勘定を使うことで、債券から生じた収益の総額が分かる。

⑦ 決算 ─ 子会社・その他

教科書 第2節4・5(p128〜132)
Q18子会社株式の決算
子会社株式・関連会社株式の決算整理仕訳は? 理由も。
仕訳なし。売却を想定しておらず時価情報が不要なので時価評価しない。B/S計上額は取得原価のまま。
Q19全部純資産直入法
その他有価証券の評価差額をどう処理し、その処理を何という?
損益とせず「その他有価証券評価差額金」(純資産)として純資産の部に直接計上する。これを全部純資産直入法という。値下がりでも費用は計上しない。

⑧ 翌期の会計処理

教科書 第3節(p133〜136)
Q20洗替方式と切放方式
2つの方式の違いと、翌期の売却損益の基準は?
洗替=翌期首に再振替仕訳を行い帳簿価額を取得原価に戻す(売却損益は取得原価との差額)。切放=翌期首は仕訳なしで時価のまま(売却損益は前期末時価との差額)。どちらでも翌期の損益合計は同じ。
Q21その他有価証券の翌期
その他有価証券に認められる方式は? 理由も。
洗替方式のみ。時価評価差額を損益に計上しないため、売却損益は必ず取得原価との差額で算定する必要があるから。